取引先と契約を締結しよう!

取引先と契約を締結

社内の承認手続きが終われば、次は取引先と契約を締結することとなります。すべての商取引は契約によって行われており、商売とは一つ一つの契約の積み重ねということができます。ひとたび販売先と利害が対立し紛争が発生すると、契約の思わぬ不備が発覚し、会社に大きな損害をもたらす場合もあります。

契約書をしっかり整備し、契約・取引が存在したことの証拠を確実に残し、自社にできできるだけ有利な形で締結して、日頃から取引の安全を図っておけば、トラブルを事前に回避でき、またいざというときに債権の保全・回収につながり、多大な被害を回避することができます。

売買に関わる契約書には、基本契約書と個別契約書があります。多くの種類の商品が、何回も継続して売買されるような取引では、個々に細かな契約書を作成すると非常に面倒です。そのため、取引開始時に、将来の継続的取引のすべてに共通して適用される条件をまとめて基本契約書に定めておき、個別契約は注文書と注文請書だけで行うとスムーズです。また取引が開始されるごとに、その都度初めから基本契約書を作成していたら、業務効率が非常に悪くなります。売買契約等の常日頃よく使う契約書は、定型フォーマットを用意し、利用を社内に徹底しておくとよいでしょう。

注文書・注文請書も立派な契約書であり、商品引渡し、数量、金額、決済条件などの内容については、その都度販売先と確認のうえで正確に記載しましょう。契約書のほか、取引を証明する書類として、納品書、請求書、物品受領書などがあり、これらの書類も日常の取引において入手・管理しておくことが大切です。

また法律は必ずしも債権者に有利な形で定められていません。したがって、次のような債権保全回収に有利な条項を基本契約書に記載しておくと効果的です。

1.期限の利益喪失条項

通常、契約では支払期日が決められていますが、逆にいうと取引相手はその支払期日までは代金を支払わなくてもよいこととなります。このことを「期限の利益」といいます。販売先は支払期日までは代金支払を拒否することができます。
しかし、販売先の信用状態が悪化した場合には、期日まで回収を待っていては手遅れになることもありえます。したがって、この条項を設け、倒産・手形不渡り・その他信用状態の悪化が発生した際は、直ちに期限の利益を喪失させ、支払を受けられるようにします。

2.契約解除条項

販売先の債務不履行によって契約解除ができることなどは法律に定められていますが、緊急時には不十分です。別途契約に定めて契約を解除できる範囲を広げておく必要があります。
具体的には、1の期限の利益と同様に手形不渡りなど信用不安の兆候が現れた場合には、一方的に契約を解除できるように定め、販売した商品が販売先にある場合は引き揚げたり、受注後に納入していない商品について出荷を中止したりするなどの対応ができるようにします。

3.相殺予約条項

相殺とは、販売先に対して債務と債権の両方を有している場合に、債権・債務を対等額にて消滅させる行為をいいます。売り買い両方がある場合は、債務が担保的な役割を果たします。いざという時に販売先の在庫などを買い上げて相殺に持ち込むことは回収手段としてよく使われるものです。
支払期日が到来していない債権についても相殺が行えるよう、特約を入れておくと強力です。

4.遅延損害金請求条項

販売先が支払いを怠った場合に、そのときから支払を受けるまで一定の利率の損害金支払義務を課すことで、販売先に間接的に支払いを促すための条項です。
実際には支払もできない販売先に損害金の支払いができないことが多いでしょう。とはいえ、倒産手続になった場合に届出する債権額が増えることで、配当受領額が大きくなりますので、メリットは少なくありません。

5.合意管轄条項

不幸にして相手先との争いが生じて裁判になった場合、通常は相手先の所在地を管轄する裁判所に提訴するのが一般的です。しかし、遠方の場合は、そのコストは馬鹿にできません。あらかじめ自社の都合の良い近くの裁判所を管轄裁判所としておくと便利です。

これら以外には、所有権留保条項、追加担保の提供条項、連帯保証人条項なども有効と言えますが、販売先に対して自社の立場が強くない限り、契約に盛り込むことは難しいかもしれません。しかし、できうる限りトライして有利な状況をあらかじめ作っておくことが大切です。

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