与信管理ってなぜ大切なの?
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取引先から代金を回収できないことを「焦げ付き」または「貸し倒れ」などといいます。焦げ付きが発生すると次のような影響が出ます。与信管理は、焦げ付きを回避するために行います。
1. 損益面への影響
それまでの企業努力でせっかく稼いできた利益が一気に失われます。仮に利益率が10%の取引において10百万円焦げ付いたとすると、その損失を取り戻すにはいくらの売上が必要でしょうか。10百万円を同じ利益率10%で取り戻そうとすると、
10百万円 ÷ 10% = 100百万円(1億円)
と、実に1億円もの売上を新たに作り出すことが必要になります。その営業努力は大きな負荷となります。いかに焦げ付き発生を回避することが重要であるかが分かると思います。
短期的には、損失を計上することになり、自社の決算にマイナスの影響をおよぼします。それだけでなく 、長期的には販売先の一つを失うことによって、自社の業績が悪化する原因となります。
2. 資金面への影響
多くの企業では販売先から入金された資金で、仕入先へ支払ったり、経費を支払ったりするという資金繰りを行っています。10百万円の焦げ付きが生じた場合、回収するはずであった10百万円が入ってこなくなりますので、その資金の不足分10百万円を別のところから調達する必要が出てきます。
資金繰りの計画が狂うと、最悪の場合、仕入先などに支払いができなくなり、自社も倒産してしまう「連鎖倒産」という事態に陥る危険性すらあります。
3. 業績・財務面だけでない悪影響
焦げ付きの発生は、単に企業の業績・財務内容を悪化させるだけでなく、「取引先の管理ができない会社は、業績が安定せず信用できない」と周囲から評価され、管理面の甘さから対外的な信用も低下させることになります。そうなると、安定的に安価で原材料を仕入れることができなくなり、確実に自社の体力をむしばむことになります。
支払えなくなった先から回収を行う業務は、自社の売上・利益を伸ばしていく業務ではありません。したがって、焦げ付きが発生すると、そのような後ろ向きな業務に従業員を充てなければならなくなり、目に見えない負担として重くのしかかります。さらには、従業員が動揺したり、損失発生でやる気を失ったりといったことも悪い影響として考える必要があるでしょう。
与信管理の究極の目的
焦げ付きの防止は与信管理の目的の一つですが、与信管理の究極の目的は、安心して継続的に取引できる営業基盤を築き、企業を成長に導くことにあります。焦げ付きを恐れ、取引に消極的になるだけでは、売上・利益を獲得することはできず、企業の成長は達成できません。
したがって、与信管理を通じて、優良な取引先には大きく与信をして販売を拡大し、危険な取引先にはなるべく少額の与信にとどめることで利益を多く確保し、成長の源泉である利益が自社に多く残る体制を作っていくことが求められるのです。
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