企業調査はなぜ必要?目的・方法から注目すべき調査項目まで徹底解説
企業間取引での未回収リスクなどを避けるためには「企業調査」が欠かせません。しかし、企業調査に関しては詳しく知らない人も多いのではないでしょうか。精度の高い企業調査を行いたいのであれば、どのようなものなのか知っておくことが大切です。そこで、この記事では企業調査の目的や概要をはじめ、重視すべき調査項目などを幅広く解説します。
取引前に行う「企業調査」とは
企業間での取引前に行う「企業調査」。ここでは、企業調査の概要や目的をはじめ、そのほかの企業調査との違いなどについて解説します。
企業調査の概要と目的
企業調査は企業のお金に関する信用状況を調べることです。別名で「信用調査」「与信調査」と呼ばれることもあります。企業調査は企業間取引の前に必ず実施されます。その理由は日本では企業間取引の多くが掛取引で行われているからです。掛取引とは商品取引の支払い方法のひとつで、商品代金を引き渡し時ではなく後日支払うことをいいます。
そのため、サービスの提供から支払いを受けるまでの期間、相手企業に支払い猶予を与えることになります。相手企業に支払い能力が無い、または、その間に急激に信用力が低下すれば、売掛債権(代金の支払いを受ける権利)が回収できないリスクが生じます。こうした未回収リスクを軽減するためには、取引前に相手企業の信用状況を把握することが大切なのです。つまり、企業調査の目的は、売掛債権未回収によって自社の業績や資金繰りが悪化することを防ぐためにあるのです。
企業に対するその他調査との違い
企業に対して行う調査はこのほかにもあります。たとえば「企業研究」「競合調査」「法人企業統計調査」などが挙げられます。それぞれの概要を知り、違いを押さえておくようにしましょう。企業研究とは、就職する際の検討材料として企業の特色を調べることをいいます。
具体的にいうと、基本的な企業の情報をはじめ、事業内容、福利厚生などの制度、初任給などをチェックすることです。そして、その企業の業界での位置づけや他社との違いを把握します。そのうえで、自分の志向や適性に合っているかどうか、企業とのマッチング度合を分析するのです。こうした企業研究を通して、自分に合う企業を絞り込んだり、企業理解を深めて志望動機を明確にしたりすることができます。
競合調査とは競合他社の商品や戦略、特徴などを調べることです。競合調査は4ステップあります。ステップ1では商品・サービスの改良、戦略・オペレーションの改善など、調査する目的を明らかにします。ステップ2では調査対象を設定します。競合他社は3社以上あるといいでしょう。ステップ3では仮説を立てて商圏調査を行い、ステップ4では実際に調査し分析します。競合他社は他社との差別化戦略を図り、自社の顧客獲得や業務拡大に役立ちます。
法人企業統計調査とは財務省が定期的に行う調査で、企業の活動実態を明確にすることを目的としたものです。調査では国内企業を分類し、財務諸表の各項目が集計されます。一口に統計調査と言っても、年度ごとに行う「年次別調査」、資本金1000万円以上の企業が対象で四半期ごとに行う「四半期別調査」があります。調査結果の公表は、年次別調査は9月初旬、四半期別調査は3・6・9・12月です。統計調査結果を見れば、市場全体の業績傾向がわかるでしょう。
企業調査の調査方法は2種類!外部調査を活用して情報収集を効率的に!
企業調査には「内部調査」と「外部調査」の2つの調査方法があり、「外部調査」の情報収集の種類として「直接情報」「間接情報」があります。それぞれの方法について解説しましょう。
内部調査
内部調査とは、すでに取引を行っている企業に対して行われる調査です。自社の経理部や営業部の担当社員に対してヒアリングを行い、相手企業の情報を集めて分析していきます。新規に取引する企業に関しては自社の社員は誰も情報を持っていないため行われません。また、既に取引を開始している取引先であれば、過去に支払い遅延が発生していないかなどの情報を収集します。
この方法は、時間やコストがかからないというメリットがあります。しかし、情報量や鮮度が不十分であったり、担当者の主観的な判断に陥る可能性がある点にデメリットがあります。
外部調査
外部調査とは、自社や相手企業以外から情報を集めて調べる方法です。
主に2種類あり、1つ目は取引先から直接パンフレットや決算書などを入手する方法です(直接情報)。2つめは第三者を経由して情報収集を行うものです(間接情報)。
直接情報
直接調査とは、相手企業に直接コンタクトをとって調査する方法です。訪問調査が基本ですが、遠方の場合は電話を使います。また、追加調査の場合はメールなどを使うこともあります。直接調査の場合、実際に相手企業の仕事ぶりや在庫を見たり、直接決算書を入手できたりするため、情報の鮮度としてはかなり高いと言えるでしょう。
しかし、企業によってはこうした調査に対して「信用されていないのではないか」と気を悪くすることも考えられます。そのため、調査には相手企業に対しての気遣いが必要です。
間接情報
間接情報とは、第三者を経由して取引先の情報収集を行うことです。その情報収集は多岐にわたっており、官公庁の登録情報を利用した登記情報や届出情報の取得や、新聞・雑誌の記事情報、信用不安に関する情報、インターネット上での口コミなどの参照など、数えきれないほどの情報収集が可能です。
ひとりでこれらの情報を収集することは時間的にも、現実的ではありません。また、収集した情報を整理し、取引先の評価を行うには専門知識が必要です。
外部の情報機関を利用することで、時間・コストの削減とともに、第三者に依頼することで自社では集められない情報や精度の高い貴重な情報を集めることが可能です。
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企業調査で注目したい項目
企業調査の目的は、相手企業と健全な取引が可能かを判断することです。そのために特に注目したいポイントが3つあります。1つ目は相手企業の収入の安定性」です。売掛金の支払い能力を判断するためです。売上の推移や生産・販売体制、受注状況をチェックしましょう。
2つ目は「資産状況や財務の健全性」です。不動産登記簿を入手して未回収が起きた際に担保取得が可能か、差し押さえの有無を確認しましょう。
3つ目は「相手企業や代表者が信頼性」です。代表者の人柄や企業体質、事業計画を確認し、トラブルの芽がないかも確認するようにしましょう。
企業調査の注意点と成功のコツ
企業調査は、相手企業と取引開始可否を判断するうえで重要なものです。そのため、鮮度の高い情報を様々な角度から集める必要があります。さらに、ただ単に集めるだけでなく、正しい分析もしなくてはなりません。企業調査は時間も手間もかかるものなのです。また、誤った分析では自社の業績や資金繰りが悪化してしまう可能性もあるため、十分なノウハウも必要です。
自社で企業調査を行うことに対して不安がある場合、専門の調査・審査会社に依頼することをおすすめします。ノウハウや豊富な経験があり、信用力判断のための有用な情報を得ることができます。国内最大級の企業データベースを持つリスクモンスターのサービス「e-与信ナビ」なら、企業検索を行うだけで、信用力を示す独自の格付や、取引先との適正な取引金額、反社チェックまで、取引開始に必要となる情報を低コストで取得することができます。手間やコストを抑え、効率的かつ効果的な取引先の評価を行うことができます。
入念な企業調査でトラブルを未然に防ごう!
売掛金を回収することができなければ、自社の経営状況まで悪化してしまう可能性があります。そのため、相手企業と取引する前に入念な企業調査を行うことが必要です。しかし、企業調査は情報収集や分析が難しく、自社で行うことに不安な場合も多いものです。取引先の信用力判断はリスクモンスターにお任せください!