「リスクはじきに目を覚ます(初版)」 章末問題解答例
この度は、「『リスクはじきに目を覚ます』~内部統制時代の与信管理」をお買い上げいただきありがとうございました。こちらは初版 章末問題の解答例となります。各章の解答は下のリンクをクリックしてご覧ください。
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Ch.1
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- 「倒産」とは厳密に定義された用語ではなく、「企業が (【1】 資金繰り )に窮し、 (【2】 事業継続 )が困難になる状態」を指します。
- 倒産の形態別では、裁判所の監督のもとで行う (【3】 法的 ) 整理と、内々に整理を進める (【4】 私的 ) 整理に分けられます。また 【3】法的整理 は(【5】 再建 )型と (【6】 清算 )型に分けられ、 【5】再建型には債務者主導で進められる (【7】 民事再生 )手続と裁判所主導で進められる (【8】 会社更生 )手続が含まれ、 【6】清算型には (【9】 破産 )手続と (【10】 特別清算 )手続が含まれます。 近年は【9】破産の割合が増加しており、倒産事件での回収率は低くなる傾向にあります。
- (【11】 売掛債権 )は 会社が持つ資産の中でも大きな割合を占める資産であり、 近年は【11】売掛債権を担保とした (【12】 ABL(アセット・ベースド・レンディング) )による資金調達も広がりを見せていることもあり、与信管理を行うことで 【11】売掛債権の (【13】 質 ) を高めることが企業成長につながると言えます。
- 焦付きが発生すると、努力して積み上げてきた (【14】 利益 )や築き上げてきた (【15】 販売基盤 )が損なわれます。また対外的な (【16】 信用力 ) も低下し、さらに当事者の従業員を精神的に疲弊させるというマイナス面もあります。
- 与信とは、「 (【17】 信用 )を (【18】 供与 )すること」です。 与信取引は、取引が倒産し、代金が回収できないかもしれないという (【19】 不確実 )性を常に抱えています。 したがって、与信管理を主軸とした (【20】 リスクマネジメント )戦略が重要となるのです。
Exercise
- 企業が倒産にいたるプロセスについて、要注意段階、要警戒段階、要緊急対応段階に分けてそれぞれに表れる具体的な兆候を交えて、説明してください。
- 要注意段階
売上減少等により業績が悪化した会社は経費削減・人員整理による利益向上、不動産売却等による借入返済などの経営改善努力を行います。 - 要警戒段階
経営改善努力に失敗すると赤字が定着して累積していき、それを隠すために粉飾決算を行ったりします。また、赤字が累積すると資金不足を招き、代金回収を急ぐために安売りや在庫処分に走ったり、取引銀行が増加したりします。社内に動揺が走り、風評が出回ったりして仕入先が警戒し始めるというようなことが起こります。 - 要注意段階
資金不足が続くと、手形ジャンプや支払遅延、給与遅配や税金滞納など支払を遅らせたり、融通手形や銀行以外の金融業者から高利資金を導入するなどの状態に至ります。ここに至っては末期的な症状となり、長くは続かず支払不能となる場合が多くなります。
- 要注意段階
- 与信管理の重要性が高まっている理由について、資産管理、法制度、倒産動向、コンプライアンスのそれぞれの観点から簡単に説明してください。
- 資産管理の観点
売掛債権は社有資産の大きな割合を占めており、かつ将来に亘って自社に収益をもたらす重要な資産であり、土地や有価証券の値上がりが期待できない昨今の情勢では、与信管理によって資産価値を維持することは重要性が大きいといえるから。
ABL推進など売掛債権を担保とした融資事例も多く見られるようになっており、与信管理を行うことで売掛債権の質を高めることがより多くの資金調達の道を開き、企業を成長させることにつながるから。 - 法制度の観点
最低資本金制度の廃止や商業登記法の改正、高額納税法人の公示制度の廃止等により、信頼できる公開情報は少なくなりつつあり、取引先の情報を自社で収集し、調査・分析することが必要となってきているから。 - 要注意段階
上場会社の相次ぐ倒産や老舗企業の倒産割合増加など従来の経験則が通用しない事象が出てきており、与信管理手法を見直す必要が出てきているから。
法的手続、中でも破産手続による倒産の増加により、倒産企業から回収できる金額は限りなくゼロに近づいている状況にあり、与信管理による事前の防衛は非常に重要性を帯びてきているから。 - コンプライアンスの観点
会社法や日本版SOX法などで内部統制システムの整備が求められる中、信用リスクを定量化し、貸倒引当金の正当性等について説明できる体制構築が必要だから。
不正行為や違法行為を未然に防止する不正検知の仕組みは不可欠となってきており、与信管理はその仕組みを強化する手段として非常に重要性が高まってきているから。
- 資産管理の観点
Ch.2
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- 与信管理において企業情報を分析する際には、( 【1】 収集 ) すること自体が目的ではなく、企業の姿を浮き彫りにし、最終的に与信の (【2】 意思決定 )を行うことが目的であることを忘れてはいけません。
- 企業情報は自社外から入手する(【3】 外部情報 )と自社内で蓄積する(【4】 内部情報 )に分類され、【3】外部情報は取引先から入手する(【5】 直接情報 )と第三者から入手する(【6】 間接情報 )に分類されます。
- 【5】直接情報の代表例としては企業の財務内容・業績が分かる (【7】 決算書 )、企業概要・沿革がつかめる(【8】 パンフレット )、取扱商品の一覧や価格が分かる(【9】 商品カタログ )が挙げられます。
- 【6】間接情報の例としては、信用調査会社による(【10】 信用調書 ) や(【11】 企業概要データ )、法務局等で入手できる会社や不動産の(【12】 登記簿 )が挙げられます。また上場会社であれば、(【13】 有価証券報告書)や(【14】 決算短信 )を入手して分析することが有効です。
- 不動産の【12】登記簿は、不動産の所在や面積などが記載されている(【15】 表題部 )、所有権に関する事項が記載されている(【16】 甲区 )、所有権以外の権利関係が記載されている(【17】 乙区 )に分かれます。不動産の【12】登記簿を調べる際は、(【18】 共同担保目録 )を合わせて取得すると担保権者がまとめて設定した担保物件の一覧を確認することができます。
- また最近は、検索サイトや取引先の(【19】 ホームページ )など、(【20】 インターネット )を活用した情報収集も欠かすことができない手段となってきています。
※ 【13】【14】は順不同。
Exercise
図表2-1に挙げられた情報について、その収集の順序を場合分けすることでチャート図にまとめてください。
ヒント: 上場会社か非上場会社か、決算書を直接入手できるか否か、集中管理が必要な会社か否かなどで場合分けしましょう。
Ch.3
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- 一般的に決算書といわれるものとしては、ある時点での財政状態を表す(【1】 貸借対照表 )やある期間の営業成績を表す(【2】 損益計算書 )のほか、会社法における計算書類としては(【3】 株主資本等変動計算書 )や(【4】 個別注記表 )、(【5】 附属明細書 )などが挙げられます。
- 【1】貸借対照表の右側は資金の(【6】 調達 )方法である資本を表し、返済の必要がない(【7】 純資産 )(自己資本)と返済が必要な(【8】 負債 )(他人資本)の2つに分かれます。また【1】貸借対照表の左側は資金の(【9】 運用 )方法である資産を表します。
- 【2】損益計算書のいちばん上にくるのが(【10】 売上高 )であり、その企業の本業での総収入を表します。その【10】売上高から売上原価を引いたものが(【11】 売上総利益(粗利益) )であり、商品やサービスの商品力を示す、企業にとっての利益の源泉となります。この【11】売上総利益から運送費や広告費、人件費などの販売費および一般管理費を差し引いたものが(【12】 営業利益 )となり、本来の事業活動によって上げられた利益を表します。
【12】営業利益から営業外損益を加減すると、一般的に会社の実力を表す利益である(【13】 経常利益 )が計算され、そして、【13】経常利益から特別損益を加減し、法人税等を差し引いて最終的に残る利益が(【14】 当期(純)利益 )となります。 - 決算書の分析では、自己資本比率や借入月商比決算書の決められた項目を抜き出して計算して他社比較や時系列比較を行う(【15】 財務比率 )分析や、各(【16】 勘定科目 )に不自然な点がないかを一つずつ調べていく分析手法などがあり、それらを組み合わせて財務状態を浮き彫りにします。
- 取引シェアが高いなどで、集中的に管理をすべき取引先については、取引先から(【17】 税務申告書 )や(【18】 勘定明細 )、(【19】 月次決算書 )、(【20】 資金繰り表 )などを入手して常に状況を把握できている体制を作る必要があります。特に【20】資金繰り表は過去将来の一定期間の現金収支を表したものであり、支払能力を判断する上に非常に重要です。
※ 【3】〜【5】と【17】〜【19】は順不同。
Exercise
図表2-1に挙げられた情報について、その収集の順序を場合分けすることでチャート図にまとめてください。
ヒント: 上場会社か非上場会社か、決算書を直接入手できるか否か、集中管理が必要な会社か否かなどで場合分けしましょう。
- 図表3-2の△△製作所の貸借対照表と損益計算書から、自己資本比率、流動比率、借入月商比、総資本回転率、売掛債権回転期間、棚卸資産回転期間、買掛債務回転期間を計算してください。
自己資本比率 : 純資産合計4,538 ÷ 資産合計16,620 × 100 = 27.0%
流動比率 : 流動資産12,887 ÷ 流動負債11,227 × 100 = 114.8%
借入月商比 : 総借入9,159 ÷ 月商872 = 10.5ヶ月
売掛債権回転期間 : 売掛債権6,658 ÷ 月商872 = 7.6ヶ月
棚卸資産回転期間 : 棚卸資産5,511 ÷ 月商872 = 6.3ヶ月
買掛債務回転期間 : 買掛債務2,139 ÷ 月商872 = 2.5ヶ月
※ 総借入 : 短期借入金8,410 + 1年以内返済の長期借入金123 + 社債0 + 長期借入金483 + 受取手形割引高143 = 9,159
月商 : 売上高(年商)10,465 ÷ 12 = 872
売掛債権 : 受取手形79 + 売掛金6,436 + 受取手形割引高143 = 6,658
棚卸資産 : 製品4,404 + 半製品・仕掛品619 + 原材料・貯蔵品488 = 5,511
買掛債務 : 支払手形837 + 買掛金1,302 = 2,139 - 営業部門から△△製作所と取引を検討しているとの相談がありました。管理部門の担当者として、1.の△△製作所の財務分析からアドバイスできることを挙げてください。
本書でも書きましたように、1期分の決算書では議論することは難しく、本来であれば3期分の決算書を並べて業績の推移や勘定の動きを見て分析したいところですが、現場ではこのように1期だけの決算書で判断を要求されるケースも多いと思われます。本件で指摘すべき点としては以下の通りです。
収益面では、売上は105億円で相応の規模を有しており、一応黒字決算となっている。自己資本は4,481百万円で、自己資本比率27.0%。過去の利益の蓄積も相応であり、利益が出ない体質の会社ではない。
しかし、財務面では運転資金をほぼ借入でまかなうかたちとなっており、その額は月商の10.5ヶ月と大きい。売掛債権回転期間、棚卸資産回転期間が長く、どうしてそのような回収サイトで販売しなければならないのか、在庫をどうして多く持つ必要があるのかを確認する必要がある。
△△製作所の商売形態をよく調べ、回収サイトを長くして販売先の資金繰りを助ける理由や、在庫を大きく持つ理由、ここに多額の不良要素(回収できない売掛債権、またはデッドストック)が存在する可能性が想定される場合は、新規の取引は控えるべきと考える。
Ch.4
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- 企業情報には、経営者の資質や会社の技術力、販売体制など単純に数値で表すことのできない情報があり、これを(【1】 定性情報 )といいます。
- 財務分析の限界点としては、そもそも(【2】 決算書 )を入手できない場合が多いこと、入手したとしても(【3】 粉飾 )している場合があり実態を正しく分析できないこと、また入手時点で既に(【4】 過去 )の情報となっていることが挙げられます。
- 取引開始に当たっては、取引相手の確認から始めます。(【5】 商業登記簿 )を取得して、思っている相手が実在しているかを調べるとともに、その(【6】 法人格 )から誰が代表者で契約相手となるのかを確認し、取引を始めることが重要です。
- また【5】商業登記簿からは企業の設立経緯や沿革がつかめ、(【7】 パクリ屋 )や(【8】 取り込み詐欺 )による被害の防止に役立ちます。さらに(【9】 資本金 )や(【10】 役員 )の変遷を併せて調べることで株主や経営母体の変化を類推することができます。コンピュータ化以前のものは(【11】 閉鎖謄本 )で調べられるので取引開始の際は全て洗ってみるべきでしょう。
- 株主や経営母体を確認することは非常に重要で、一族経営の企業の場合はその一族が保有している(【12】 資産 )や(【13】 関連会社 )をチェックすることが非常に重要です。「会社は違えど財布は一つ」ということもあり、自社の取引先は表面上内容がよくても、その【13】関連会社に赤字を押し付けている場合もありえます。
- また資金調達に直結するという意味で(【14】 金融機関 )との取引について確認することは重要です。(【15】 メインバンク )に変化はないか、また規模に比して取引している【14】金融機関が多い状態である(【16】 多行取引 )となっていないかに注意が必要です。
- (【17】 信用不安情報 )とは、会社の信用力に関する不安情報です。市中金融で手形が(【18】 割止め )となっているというような情報が入った場合は、資金繰りに困って(【19】 融通手形 )を振り出している危険性もあり、厳密な調査が必要です。また手形の期日変更、いわゆる(【20】 手形ジャンプ )など支払に関する情報も資金繰りに大きな支障をきたしている可能性があり、すぐに対策が必要となります。
※ 【7】【8】と【9】【10】は順不同。
Exercise
取引先について次のような情報が入ってきた場合、どのようなことが発生していると考えられるでしょうか。それぞれ簡単に説明してください。
- 経理担当の部長が退職した
経理・財務部門の責任者は、会社の決算や資金繰りに関わる情報を熟知しています。単純に定年等による退任ということもありえますが、時期や経緯が不自然な場合は注意が必要です。経理・財務の責任者が退職するということは、取引先の業績または資金繰りが悪化している、または将来的に悪化することを知って、倒産時の責任追及から逃れるために退職したということも考えられます。 - ダンピング(不当廉売)を行っている
非常に安い価格で商品を販売しているということは、資金不足が予想されるため、とにかく目先の決済資金を得るために価格にこだわらずに商品を売りさばいているという状態が考えられます。しかし、100円で仕入れたものを50円で販売するようなことをすれば当然会社の業績は悪化しますし、またその商品の仕入代金はいずれ決済しなければならないため、資金繰りが付かなければ倒産する可能性もあります。 - 大口の焦付が発生した
大口の焦付きが発生すると予定していた売掛債権の回収ができなくなり、不足資金の穴埋めをしなければなりません。自己資金や借入等による資金調達ができなければ、資金がショートし連鎖倒産する可能性もあります。また直接的な連鎖倒産はしなくても、無理な資金繰りを強いられると同時に、販売先がなくなることによる収益悪化も伴うため、企業体力が弱体化することが予想されます。 - 給与遅配が発生している
従業員に給料が支払えていないということは、取引先が資金繰りに行き詰まっている証拠です。まずは大口取引先1~2社に支払猶予を依頼することが普通であり、対象者が多くなり、風評が出やすい従業員給与に手をつけるということは、相当深刻な状況に追い込まれていると考えてよいでしょう。 - 関係会社が倒産した
同じ一族経営の会社の場合は、「財布は同じ」状態になっていることが多く、一つの会社が倒産すると、資金繰りが立ち行かなくなったりして連鎖倒産する可能性があります。取引関係がなく、業種もつながりがない会社でも、関係会社の債務について連帯保証している場合もあり、警戒が必要です。
Ch.5
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- 取引先自体の経営分析だけでなく、(【1】 商流 )を把握し、取引自体の安全性を確保することで危険な取引を回避するとともに、有事の際の回収率を高められます。
- 与信取引の形態としては、商品の所有権を取引先に移転したり、取引先に(【2】 サービス )を提供したりする(【3】 売買 )取引が一般的ですが、それ以外に、取引先に自社在庫などの所有物を保管させる(【4】 寄託 )取引、取引先に原材料などを供給して加工させる(【5】 委託加工 )取引、代金を前払いする(【6】 前渡 )取引などがあります。また商品供給責任や製品クレームのリスクを回避するため、(【7】 仕入先 )の管理も必要です。
- 仕入代金を支払うまでの(【8】 支払サイト )と、在庫をしてから販売しその代金を販売先から回収するまでの(【9】 回収サイト )の差を(【10】 立替期間 )といい、それに要する資金を(【11】 運転資金 )といいます。【10】立替期間が長ければその分【11】運転資金を調達する必要が出てくるため、資金効率の面からは【10】立替期間は(【12】 短 )い方がよいといえます。
- 代金の回収方法としては、近年コスト削減のために(【13】 手形 )回収から(【14】 現金 )回収に移行する動きが目立ちますが、与信管理上は【13】手形での回収の方がメリットは大きいといえます。
- 基本契約書には、債権保全・回収に有効な条項を盛り込むことが必要です。主な条項としては、(【15】 期限の利益喪失 )条項、(【16】 契約解除 )条項、(【17】 遅延損害金請求 )条項、(【18】 合意管轄 )条項などが挙げられます。
- 危険な取引の例としては、仕入先と販売先との間で取引条件等が予め決定されている取引の間に入ってしまう(【19】 介入 )取引や、仕入先と販売先が結託して商品が元の持ち主に戻る(【20】 環状 )取引などがあります。取引開始時や見直し時には【1】商流をしっかり把握することが重要です。
※ 【15】~【18】は順不同。他に任意処分、相殺予約、所有権留保、追加担保設定、連帯保証人なども入ります。
Exercise
あなたは、積極的な営業展開を狙っていた矢先、商品Aについて取引を行っている取引先の社長からX氏の紹介を受けました。X氏は、商品Bを月末締め翌月末起算90日期日の手形で支払うで、毎月500万円分供給してもらいたいとあなたに申し出をしてきました。
あなたは、商品Bについて取り扱ったことはなく、関連する知識も十分ではありませんが、商品Bの仕入先を一社はあなた自身で、あとの一社はX氏の紹介で見つけることができました。。
このような状況となった場合、あなたは社員としてどのような行動を取るべきでしょうか。箇条書きにして説明してください。。
商品知識の薄い商品Bについての取引で、さらに月500万円で5ヶ月サイトということになると、リスクとしてはかなり大きいことを認識して案件に臨むべきでしょう。取るべき行動としては、以下のようなことが挙げられます。
(1)報告と規程の確認
- 上司に報告する
- 社内規程を確認し、2,500~3,000万円の与信限度設定に関する決裁権限を調べる
( 月末締め翌月末起算90日期日→回収サイトは5ヶ月となるため、毎月500万円販売すると、500万円×5ヶ月=2,500万円となり、2,500~3,000万円の与信限度設定が必要となります。)
(2)X氏およびX氏の調査
- 取引先の社長によく聞くなどしてX氏の人物像を把握する
- X氏の会社のホームページがあるか確認し、企業概要をつかむ。また信用調査会社に調査を依頼し、信用調書を入手することで企業概況を把握する
- X氏の会社を訪問し、ヒアリングする。また企業概況との齟齬がないか確認する
- X氏の会社に決算書、パンフレット(できれば税務申告書、勘定明細書も)の提出を依頼し、入手する
(3)商品および商流の調査
- X氏の会社の販路及びエンドユーザーを把握し、その上で決済条件が妥当か確認する
- 商品Bの関連法規制や商品ライフサイクル(市場の状況)を確認する
( 商品Aの取扱については熟知しているでしょうが、商品Bは畑違いの商品を取り扱うこととなるので、商品に関する理解は非常に重要です。)
(4)仕入先の信用調査
- 仕入先の信用調書を入手し、信用力や商品供給能力を見極める
- X氏の会社と、X氏が紹介した仕入先との間に入ることは介入取引になる可能性もあるため、その関係についてはよく調査する
(5)営業方針の決定
- X氏の会社が与信面で取引可能な会社かどうか、商品Bが会社として取り組むべきものであるのかを検討する
- 年間で予想される利益の金額と、与信金額ならびに必要な立替資金の額を比較し、メリットがある取引なのかを検討する
- 廻り手形回収や担保取得など債権保全の手段を検討する
- X氏の会社および仕入先2社との売買基本契約書および個別契約の証憑類を作成し、条件のすり合わせを行う
- 定期的に訪問し在庫の状況、商品の納入状況を確認する、決算書を入手するなど取引開始後の管理方針を決める
- 与信限度申請書を提出し、取引開始の決裁を取得する
Ch.6
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空欄に語句を入れましょう。
- 企業調査を主に行う信用調査会社の主な業務内容としては、信用調査による(【1】 信用調書 )や(【2】 企業概要データ )の提供や、(【3】 企業倒産 )に関する情報や統計の提供、企業年鑑等の(【4】 出版 )事業などが挙げられます。
- 全国に支店を有して幅広い業種で調査を展開する総合信用調査会社もあれば、(【5】 地域 )や(【6】 業種 )に特化した信用調査会社もあり、それぞれの特色を理解した上で利用するようにします。
- 信用調査会社を利用するメリットとしては、信用調査における(【7】 手間 )と(【8】 時間 )がセーブできる点や、第三者による調査のため、(【9】 主観 )を極力排除でき、調査に(【10】 漏れ )をなくすことができる点などにあります。
- 【1】信用調書は、信用調査会社の(【11】 調査員 )が直接現地に出向き、取材調査を行うことにより作成されます。自社での信用調査に限界がある場合に非常に有効です。
- 与信額が小さい場合や、情報が多少古くても会社の概要・沿革などが分かればよいという場合は、(【12】 既調(コピー) )の【1】信用調書を利用するとコストを抑えることができます。
- 【1】信用調書を利用する際は、信用調査によってどのようなことを明らかにしたいのかといった(【13】 利用目的 )を明確にしておくことが重要です。それに従って、特に知りたい調査項目や仕上がりまでの調査(【14】 速度 )などを指定します。また、(【15】 事実 )を読み取ることを優先し、あくまで(【16】 自社調査 )の補完として活用することが大切です。最終判断はあくまで自社で行います。
- 【2】企業概要データは、1社当たり(【17】 1,200~1,600 )円程度と安価であり、企業を簡易的に分析するために非常に有用なものです。また(【18】 時系列分析 )で過去からの変遷を分析することで、企業の動きがよく分かります。ただし、【1】信用調書と違って全てが(【19】 直接取材 )で得られたものではなく、(【20】 電話 )やファクスによる取材で収集されたものも含まれています。しかし、逆にそれを踏まえた上でデータを見ることで有効な分析ができます。
Exercise
取引先X社、Y社の企業概要データを調べると次のようなデータ変遷を発見しました。ここから読み取れる事象について説明してください。
(1)報告と規程の確認
- X社の取引銀行の変遷
2007年6月 ○○信用金庫(■■)、□□銀行(■△)、▲▲銀行(■△) 2007年1月 ○○信用金庫(■■)、□□銀行(■△)、△△△銀行(■○) 2004年7月 △△△銀行(■○)、□□銀行(■△)、▲▲銀行(■△) - Y社の仕入先の変遷
2007年6月 ○■建設、■■物産、▲△機材、○▲コーポレーション 2007年1月 ○○商事、○■建設、■■物産、▲△機材、○▲コーポレーション 2004年7月 ○○商事、○■建設、■■物産、△■組、▲△機材、○▲コーポレーション
Ch.7
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空欄に語句を入れましょう。
- 取引先の与信管理は、(【1】 与信承認 )プロセスと(【2】 与信事後管理 )プロセスという二つのプロセスに分けることができ、(【3】 与信管理規程 )等の社内ルールを基準にして対応されます。
- 【1】与信承認プロセスは、取引先について多面的に(【4】 情報収集 )を行い、それを基にして(【5】 定量 )分析、(【6】 定性 )分析、(【7】 商流 )分析によって取引先の(【8】 信用力 )を評価し、(【9】 与信限度決裁 )を行います。【9】与信限度決裁が行われればそれに基づいて取引先と取引条件について交渉します。
- 【2】与信事後管理プロセスは、取引開始後に行う途上与信のプロセスです。まず取引先に関する全社またはグループ全体の(【10】 債権管理 )と(【11】 限度管理 )を実施して、限度違反や回収遅延などが発生した場合は対応策を取ります。また、取引先の(【12】 動態 )管理を実施し、常に【4】情報収集を行うと共に、新しい決算が出る時期に合わせて定期的に(【13】 与信見直し )を行います。さらに、取引先に信用不安等の異変が生じた場合は、(【14】 問題先 )に指定して管理を強め、万一(【15】 事故 )が発生した場合は迅速に対応をとり、被害を最小限に抑えます。
- 与信管理業務においてよく見られる問題点としては、決算書等が入手できずに(【16】 取引先評価基準 )を運用できない、基準が倒産確率等と連動していないためリスクを(【17】 定量化 )して把握できない、(【18】 (与信管理)教育 )が行き届かず従業員に与信管理の意識が希薄である、ルールや基準が曖昧なために【3】与信管理規程が守られず商売を優先してしまう、システムが未整備で取引先に対する与信残高推移等の(【19】 内部情報 )を即座に取り出せない、新規取引先の調査は行っているが(【20】 見直し )まで手が回らないなどがあります。
※ 【5】~【7】と【10】【11】は順不同。
Discussion
あなたの会社における与信管理上の問題点を挙げ、それに対応する対策を考えてみましょう。
本書でも記述しましたが、リスクモンスターは、これまで多くの会員企業様から与信管理に関わるさまざまな悩み、問題、ご意見をお聞きし、そして責任者様、担当者様と共に悩み、議論し、解決することで、ここまで成長してきました。
どのようなことでも結構ですので、是非お気軽にお問い合わせください。
Ch.8
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空欄に語句を入れましょう。
- 一般的にリスクマネジメントの手法は、5つのプロセスによって構成されています。まず企業にとって重大だと考えられるリスクを(【1】 特定 )し、次にリスクを量る方法を決めて特定したリスクを定量的に(【2】 算定 )し、予め設定した基準と比較してリスクを(【3】 評価 )し、対応の要否を決め、対応が必要と判定されたリスクについて(【4】 対策 )を立て、そしてその上で残存しているリスクを評価します。またリスクに対する【4】対策には、リスクの(【5】 回避 )、リスクの(【6】 移転 )、リスクの(【7】 低減 )の3つの方法があります。
- 与信管理を実施する際も、リスクマネジメントの手法を使い、システムを構築して運用します。「(【8】 Plan(計画) )⇒(【9】 Do(運用) )⇒(【10】 Check(見直し) )⇒(【11】 Act(改善) )」というサイクルを(【12】 継続 )的に回していかねばなりません。
- 与信管理は主要なマネジメント機能をつなぐ経営上の重要なシステムですので、(【13】 経営陣 )の役割は非常に重要です。【13】経営陣は、現状を的確に把握し、明確な基本方針を立て、必要な(【14】 経営資源 )を投入し、実施状況を(【15】 レビュー )することが求められます。
- 与信管理担当の管理部門は、客観的な判断ができるように(【16】 営業部門 )から独立させることが重要です。
- 与信管理担当の管理部門の機能としては、個別案件の審査や問題案件のフォローアップなどの(【17】 審査実務 )機能と与信管理の(【18】 マネジメントシステム )を円滑に回す機能に分けることができます。また必要な費用としては、人件費などの事務管理費、信用調書や企業概要データを取得するための(【19】 データ維持・分析 )費、与信管理に関わるITシステムを運用・維持するためのITシステム費、業務レベルアップのための(【20】 教育・研修 )費が挙げられます。
※ 【5】~【7】は順不同。
Exercise
Ch.9以降の与信管理の各プロセスは、リスクマネジメントの5つのプロセスに沿って進められますが、それぞれどのプロセスが対応関係にあるかを説明してください。
【1】 リスクの特定 | 対象とするリスクの決定(9.1) |
---|---|
【2】リスクの算定 | 会社格付と与信リスクの定量化(9.2および9.3) |
【3】リスクの評価 | 与信意思決定ルールの構築(10.1) |
【4】リスク対策の決定と実施 | 文書化・帳票の整備(10.2)と与信管理ルールの運用(Ch.11)、与信管理教育の実施(Ch.13) |
【5】残留リスクの承認 | 与信管理ルールの評価・見直し、改善(Ch.12) |
Ch.9
Check
空欄に語句を入れましょう。
- 取引先に対する与信リスク全体を分析する際は、まず管理すべき与信リスクの(【1】 種類 )を特定することから始めます。(【2】 前渡 )取引、(【3】 寄託 )取引、(【4】 委託加工 )取引など売買取引以外に管理が必要な取引を定めます。
- 次に、全社またはグループ全体で各与信取引を行っている取引先の洗い出し作業を行います。その際は、取引先に対する与信限度だけでなく、正味の与信リスクを調べるために(【5】 売掛債権 )や(【6】 仕入債務 )なども合わせて調べます。
- こうして収集した資料をもとに取引先ごとに与信残高をまとめる作業を行います。ここで、取引先1社ごとに一つの(【7】 企業コード )を設定すると、その後の管理について効率化の効果が期待できます。自社で【7】企業コードの体系を作ることが困難な場合は(【8】 信用調査会社 )の【7】企業コードを利用することも検討します。
- (【9】 会社格付 )は、取引先の信用力を簡潔な記号で表し、分類するものです。したがって、【9】会社格付の基準は(【10】 倒産確率 )であるべきです。【9】会社格付の目的としては、与信リスクの(【11】 定量化 )、取引先の取組方針の明確化、与信管理業務の効率化の3点にあります。
- 与信リスクを【11】定量化するには、主に二つの指標が用いられます。一つが【9】会社格付ごとの【10】倒産確率を与信額に掛け合わせ算出する(【15】 予測損失額 )で、もう一つが【15】予測損失額が1%ないし5%の割合で大きく変動する不測の事態を加味した(【16】 信用リスク量(VaR) )と呼ばれる指標です。【15】予測損失額は(【17】 引当金 )と同義といえ自社のP/L上の(【18】 利益 )と比較し、【16】VaRは(【19】 必要自己資本 )と考えられ自社のB/S上の(【20】 自己資本(純資産) )と比較し、自社の収益力や財務体力の範囲内にリスクが収まっているかをチェックします。
Exercise
与信リスクを定量化することでどのようなメリットが生まれるかを説明してください。
リスクの定量化のメリットはさまざまなものがありますが、その本質はリスクを客観的な数値として認識できるようにすることで比較分析および戦略策定が容易になることにあるといえます。本書に記述した与信リスクの定量化のメリットの具体的内容としては、以下のような項目が挙げられます。
- 与信リスクと利益数字や自己資本の額を比較することが可能となり、自社の収益力や財務体力に比してリスクを取りすぎていないかなどの全社的な経営分析が可能となる。
- 決算書に計上した貸倒引当金についての正当性を外部に対して説明することができる。
- 構築する与信管理ルールが、全社の与信リスクのどの程度を管理することになるのかといったことが分かりやすくなる。
- どの程度与信管理にコストをかけるべきかという予算の方針が立てやすくなる。
- どの部門・地域が与信リスクを多く抱えているのかを把握できるようになり、与信リスクに基づいた業績評価が可能となる。
- 与信リスクの推移を把握しやすくなり、構築・運用している与信管理ルールが有効かどうかを評価できるようになる。
Ch.10
Check
空欄に語句を入れましょう。
- 与信意思決定プロセスに必要な組織としては、(【1】 申請 )部門である営業部門と、(【2】 審議 )部門である管理部門、そしてそれぞれの意見を参考に意思決定を行う(【3】 決裁者(決裁機関) )があります。三者の共同作業がうまく機能して初めて質の高い管理が実現します。
- 与信意思決定プロセスにおいては、(【4】 利益 )獲得のための営業活動拡大と(【5】 焦付き )防止のための管理体制強化は(【6】 トレードオフ )の関係にあり、経営陣は両者の(【7】 バランス )を勘案してルールを策定しなければなりません。
- 与信管理の意思決定ルールの2本柱は、信用力を算定する基準となる(【8】 会社格付 )制度と、与信リスクにキャップを付ける(【9】 与信限度 )制度であり、これらを明確に分かりやすく定めることで、決裁権限と責任がリンクされます。
- ルールの策定方法としては、まず(【10】 財務体力 )に基づき【8】会社格付ごとに【9】与信限度の上限目安を定め、これを超える場合は管理を強める仕組みにします。そして、与信管理の効率化と強化のために自社の【10】財務体力に与える影響が少ないと考えられる(【11】 少額取引 )のラインと大口の取引先ゆえに経営戦略上特別な管理が必要な(【12】 大口取引 )のラインを設定します。また【8】会社格付ごとに自社の(【13】 取引シェア )の上限を定め、これを超える場合も管理を強める仕組みにします。
- これによって分けられた領域ごとに管理のポリシーを定めます。(【14】 与信リスク )が低い領域は、迅速な判断ができるようにして(【15】 販売機会 )を逃さないようにし、【14】与信リスクが高い領域は、より慎重にリスク分析を行われ、管理体制を強められるようにします。
- 与信リスクを管理しきれない場合や、与信リスクが高いまたは量りかねる場合は、他社にリスクを(【16】 移転 )させる方法もあります。具体的には、(【17】 取引信用保険 )や(【18】 ファクタリング )、債権保証といったサービスがあります。
- ここまで定めた与信管理のルールについて、(【19】 与信管理規程 )や(【20】 与信管理規程細則 )、手順書等にまとめ、文書化します。これによって、会社が受容するリスクの範囲を従業員に明確に伝えることができます。
※ 【17】【18】は順不同。
Exercise
図表10-13の与信管理決裁権限表が運用されている場合、次の案件はどのようなプロセスを経て決裁されるか答えてください。
- 格付A、仕入債務1,000百万円の取引先に対して、与信限度120百万円の設定。
100百万円以上160百万円未満の欄が適用され、取引シェアは仕入債務の12%となり、基準の30%を下回っていますので、決裁者は営業部門長となります。
申請者:営業部門長 → 審議者:管理部門長 → 決裁者:営業部門長
非常に安い価格で商品を販売しているということは、資金不足が予想されるため、とにかく目先の決済資金を得るために価格にこだわらずに商品を売りさばいているという状態が考えられます。しかし、100円で仕入れたものを50円で販売するようなことをすれば当然会社の業績は悪化しますし、またその商品の仕入代金はいずれ決済しなければならないため、資金繰りが付かなければ倒産する可能性もあります。 - 格付C、仕入債務200百万円の取引先に対して、与信限度10百万円の設定。
1百万以上40百万円未満の欄が適用され、取引シェアは仕入債務の5%であり、基準の15%を下回っていますので、営業部門の専決案件となります。
申請者:営業担当者 → 調整者:営業課長 → 決裁者:営業部門長 - 格付D、仕入債務120百万円の取引先に対して、与信限度25百万円の設定。
10百万円以上100百万円未満の欄が適用され、取引シェアは仕入債務の20.8%となり、基準の10%を超えますので、決裁者は社長となります。
申請者:営業担当者 → 調整者:営業課長、営業部門長 → 審議者:管理部門長 → 決裁者:社長 - 格付E、仕入債務50百万円の取引先に対して、与信限度4百万円の設定。
1百万円以上5百万円未満の欄が適用され、取引シェアは仕入債務の8%となり、基準の6%を超えますので、管理部門の審議が必要な案件となります。
申請者:営業担当者 → 調整者:営業課長 → 審議者:管理部門長 → 決裁者:営業部門長 - 格付F、仕入債務100百万円の取引先に対して、与信限度2百万円の設定。
F格は取引シェアに関わらず、与信限度が1百万以上であれば社長の決裁が必要な案件となります。 申請者:営業部門長 → 審議者:管理部門長 → 決裁者:社長
Ch.11
Check
空欄に語句を入れましょう。
- 与信限度の設定に当たっては、(【1】 安全 )かつ適正で(【2】 必要 )な範囲という原則を守らなければなりません。【1】安全な範囲としては自社の(【3】 財務体力 )や取引先に対する(【4】 取引シェア )を考慮した上で上限を設定します。適正で【2】必要な範囲としては、平均の売掛債権残高を算出して(【5】 実需 )に即した与信限度とすること、(【6】 回収サイト )が業界内の慣行と比較し正常であることを考慮しなければなりません。
- 与信限度申請前には、(【7】 信用調査 )を行うと共に、懸念される事項がある場合には管理部門や決裁者に(【8】 事前相談 )します。
- 営業部門の担当者は、会社格付と与信限度をもとに与信管理決裁権限表で審議経路を確認し、与信限度申請書を作成します。申請書には、取引開始の(【9】 経緯 )や、取引経路や決済条件などの(【10】 商流 )、基本契約の有無や入手資料、取得担保などの(【11】 管理手法 )、営業部門としての(【12】 取組方針 )を記載します。
- 与信限度が決裁された後は、(【13】 債権管理 )や限度管理を行い、回収遅延や(【14】 限度超過 )については理由を確認し、取引先または取引自体に異常が発生していないかを常に確認します。
- 与信限度は(【15】 期限 )を定めて定期的に見直し、更新作業を実施します。これによって取引先の業況変化等をモニタリングすることができます。管理部門は、見直しを実施すべき取引先についてリストを作成し、営業部門に通知します。
- (【16】 担保 )取得・維持管理の目的は、取引先が倒産した場合に焦付いた債権を回収できるように取得・管理することにありますが、【16】担保があるから(【17】 与信 )ができるという考え方ではなく、【16】担保なしでは【17】与信できない取引先とは原則【17】与信をしないという考え方が大切です。
- 手形ジャンプの依頼や信用不安情報が流れるなど危険な兆候が見られた取引先は、(【18】 問題先6 )に指定して集中的に管理します。【18】問題先は、営業部門と管理部門が一体となって、自社債権の(【19】 保全 )や(【20】 回収 )についての計画を立て、実施していきます。
※ 【19】【20】は順不同。
Exercise
あなたは5年間取引を継続してきた取引先Z社の担当者です。あなたはZ社の社長と良好な関係を築いており、与信額は5,000万円となっていました。ある日、Z社の社長から電話があり、月末期日の手形1,500万円について支払えないので、手形ジャンプをしてほしいとの要請を受けました。 あなたは、社員として何をすべきでしょうか。考えられるZ社への対応策と社内手続について説明してください。
手形ジャンプの対応策についての問題です。以下のようなことが挙げられます。
(1)Z社への対応策
- Z社を上司(場合に応じて管理部門も)と共に訪問し、決算書、資金繰り表、税務申告書、勘定明細書を入手して、手形ジャンプ要請の原因とその原因の解消見込みをヒアリングする。
- 必要に応じて帳簿類等を閲覧して、資産内容と資金繰り表の精査・再調査を実施する。
- 他の仕入先の協力度合いや銀行借入の可能性もヒアリングし、ジャンプすべき金額を把握する。
- 社有または一族の資産、在庫・売掛金、連帯保証などの担保の取得について交渉する。
- Z社との連絡体制を保持する。
(2)社内手続
- 上司、決裁者、管理部門、関連部門への報告・連絡・相談を行う。
- 自社およびグループ会社のZ社に対する売掛債権額などの与信残高と与信限度、仕入があれば買掛金の額を確認する。
- Z社からの受注残高と、Z社向け商品の在庫残高を確認する。また商品転売の可能性も確認し、それによってどの程度損失が出ることが予想されるかを把握する。
- 債権保全・圧縮策ならびに、受注残高と在庫からの損失最小化のための方策を練り、ジャンプに応じるかどうかなど対策を固める。
- 支払猶予に関する稟議資料の作成と社内決裁を取得する。
- 対象の手形を取立に回していればその組戻を管理部門に依頼する。
- 売買基本契約や担保契約など各契約書類(必要であればZ社から自社への手形ジャンプの依頼書も)を作成する。
Ch.12
Check
空欄に語句を入れましょう。
- 与信管理体制が高いレベルに到達するには、(【1】 PDCAサイクル )を最低1年に1回は回して、その(【2】 評価・見直し )を定期的に実施し、小幅でも(【3】 継続 )的に(【4】 改善 )していくことが近道といえます。
- また常に【2】評価・見直しを行い、自社の(【5】 事業内容 )や周囲の(【6】 環境 )の変化にも柔軟に対応できるようにするべきです。
- 見直し・評価の項目としては、まず(【7】 与信ポートフォリオ )分析を行い、定量化した(【8】 与信リスク )の変化をとらえ、与信管理体制を構築・運用することによって【8】与信リスクを減少させることができたのか、または【8】与信リスクが自社の(【9】 収益力 )や(【10】 財務体力 )の範囲内に収まっているかを確認し、構築・運用の(【11】 有効性(効果) )を評価します。
- 営業部門やグループ会社毎で【7】与信ポートフォリオ分析を行い、【8】与信リスクを定量化することで(【12】 業績評価 )や(【13】 予算策定 )に活かすことができます。【8】与信リスクが大きくなっている部門は、たとえ利益を上げていても評価を下げることで、与信管理を業績評価にリンクさせることができるようになります。
- 与信限度の(【14】 審議 )件数および登録件数や、与信限度の(【15】 超過 )、未設定、期限切れなどの発生件数を集計し、その原因を調査することで業務フロー等に問題がないかをチェックし、改善につなげます。
- また(【16】 問題先 )や(【17】 事故先 )の状況をまとめ、債権保全・回収計画をフォローアップできているかという現状把握を行うと共に、規程や手順書類の改善の必要性について検討します。
- さらに与信管理教育・訓練の結果や、過去・将来を含めた【5】事業内容や(【18】 法規制 )の変化を調べることによって、改善すべき点を洗い出します。
- これらの見直し・評価項目を(【19】 経営陣 )に報告することにより、【19】経営陣が(【20】 見直し(マネジメントレビュー) )を実施し、改善に向けた指示を出します。
※ 【9】【10】と【12】【13】と【16】【17】は順不同。
Exercise
図表12-6のチェックリストをもとに、自社の与信管理体制の評価・見直しを行い、改善に向けた対策を立てましょう。
本書でも記述しましたが、与信管理体制の評価・見直しには、取引先全体のポートフォリオ分析が最適です。 リスクモンスターでは、RM格付などの各与信指標を駆使し、低コストかつ短期間で全体分析するポートフォリオサービスを実施しております。取引先信用状況の現状把握、与信管理ルールの策定・改正のサポートの他、取引先の名寄せや基本情報の整理が可能となります。
ご興味を持たれた方は、是非お問い合わせください。
Ch.13
Check
空欄に語句を入れましょう。
- 会社の与信管理のレベルは、従業員一人一人の(【1】 意識 )と(【2】 能力 )の高さによって決まります。ここでいう【2】能力とは、与信管理を行うための(【3】 知識 )と(【4】 力量 )を意味します。これらは、文書に明確に定めておき、従業員の評価にも活用します。
- (【5】 営業部門 )は、現場の最前線におり、与信管理において重要な責任を有しているため、与信管理教育の重要性は大きいと言えます。
- 与信管理教育は、年間の(【6】 教育計画 )を策定し、確実に実施していきます。
- 教育は職場内での訓練である(【7】 OJT )と、職場外の研修である(【8】 Off-JT )を組み合わせて行います。【8】Off-JTの主なものとしては、(【9】 集合研修 )と(【10】 eラーニング )が挙げられ、】【9】集合研修で引き上げた能力を【10】eラーニングを継続的に実施することで定着させるなど組み合わせて実施することで高い学習効果が見込めます。
※【3】【4】は順不同。
Discussion
自社の与信管理における課題を挙げ、図表13-6のような帳票を使って、与信管理教育の年間計画を策定しましょう。
本書でも記述しましたとおり、与信管理教育の成否は与信管理体制構築・運用の大きなキー・ポイントとなります。
リスクモンスターでは、会員企業様向けに各種セミナーを随時実施すると同時に、会員様の社内体制やニーズに合わせてカスタマイズした各種社内研修も実施しております。また知識習得・定着のための与信管理e-ラーニング講座を入門編と実践編に分けてご提供しております。
ぜひお問い合わせの上、ご検討下さい。
Ch.14
Check
空欄に語句を入れましょう。
- (【1】 内部統制 )とは、企業がさまざまな(【2】 リスク )を乗り越えて事業を継続していくために備える仕組みのことをいいます。
- 現代的な【1】内部統制の方向性を決定付けたのは、1992年にアメリカで公表された「(【3】 COSO )レポート」といわれています。【3】COSOレポートでは、【1】内部統制を維持確立するために準拠すべき枠組みとして「【3】COSOフレームワーク」が示され、各国の監査基準や、アメリカの企業改革法や日本の(【4】 金融商品取引法(日本版SOX法) )など法制度にも広く影響を及ぼしています。
- 【4】金融商品取引法では、(【5】 経営者 )が【1】内部統制を評価し、(【6】 内部統制報告書 )を提出して報告することを義務付けており、【6】内部統制報告書は公認会計士または監査法人の(【7】 監査証明 )を受けなければならないことが規定されています。これにより上場企業は、(【8】 2008年4月 )以降に開始する事業年度から財務報告に係る】【1】内部統制を自ら評価し、その結果を開示することが求められることとなります。
- 2006年5月に施行された(【9】 会社法 )では、大会社の(【10】 取締役会 )が【1】内部統制のシステム整備について基本的な方針を決定することが義務付けられました。そして、【10】取締役会は【1】内部統制の構築・運用を指示し、それが適切に機能しているかをチェックし、問題があれば(【11】 改善 )策を講じるというPDCAサイクルを回さねばなりません。
- 【1】内部統制の仕組みを目に見える形にして検証し、第三者に対して客観的な説明を行えるようにするためには(【12】 文書化 )の作業が不可欠となります。特に【4】金融商品取引法では、【12】文書化の書式について明確な定めはありませんが、「(【13】 業務記述書 )」、「(【14】 フローチャート )」「(【15】 リスクコントロールマトリックス )」のいわゆる3点セットを標準的な書式として【12】文書化を進めることで、実務上のコンセンサスが得られています。
- 【13】~【15】の中でも特に重要な役割を果たすのが【15】リスクコントロールマトリックスです。【15】リスクコントロールマトリックスは(【16】 アサーション )が阻害されるリスクを特定し、【16】アサーションの確保のために設定される(【17】 コントロール )について記載するものです。【16】アサーションとは、勘定科目や勘定の残高の「正しさ」の要件を表す概念で、【16】アサーションが阻害されることが財務報告に係るリスクにつながります。
- 内部統制において、与信管理の観点からみた場合の代表的なリスクとしては、(【18】 支払能力 )のない取引先と取引を行うリスク、適切でない取引先と取引を行うリスク、(【19】 与信限度 )が守られないリスク、架空の売上や誤った売上が計上されるリスク、手続ミスによって(【20】 代金回収 )が不可能となるリスクなどが考えられ、それぞれ対策を取ることが求められます。
※【13】【14】は順不同。
Discussion
あなたやあなたの所属している部署が行っている担当業務について、財務報告に係るリスクとそれに対するコントロールがあるのか、あればその内容について議論してみましょう。
リスクモンスターでは、内部統制支援ASP・クラウドサービスとして、「優統制倶楽部」というサービスを提供しております。
これは、日米SOX法対応に実績のあるMPX社と共同開発した低コスト・的確・簡単な内部統制評価システムであり、かつ他社が行うリスクやコントロールを集計、指標評価して選択する項目を推奨するナレッジ共有機能も装備されているものです。
具体的には、監査基準に基づいて予め登録してある業務項目を選択すると、それに対応するリスクおよびコントロールの抽出が行なえます。また、コントロール対応状況の管理やRCM(リスク・コントロール・マトリックス)の作成など、J-SOX法で求められている内部統制の構築も短期間で行なえます。
子会社や関連会社の内部統制に取り組まれる方、 すでに内部統制システムの構築中で時間と費用の節約が必要な方は是非お問い合わせください。