取引先リスク管理Q&A ~得意先から取引先の紹介や取引への介入依頼をされた!何に注意すればいい?~

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Q.得意先から取引先の紹介や取引への介入依頼をされた!何に注意すればいい?

A.
 得意先から取引先の紹介を受けた場合、得意先からの紹介だからとついつい得意先に対する義理や人情、得意先への信頼をよりどころにして、取引先の分析を十分にせずに取引を開始してしまうことがあります。しかし、得意先と取引先は別会社であり、取引先との間で事故が発生しても得意先が保証してくれるわけではありません。紹介者が誰であろうと、通常の新規取引先と同様に情報収集をしっかりと行い、定量分析・定性分析・商流分析から取引先の信用力を見極めたうえで、自社が許容できる範囲で取引を行わなければなりません。

解説

  • 1、取引リスク回避のための介入依頼

 取引への介入を依頼された場合には、自社が間に入る理由を確認する必要があります。介入取引では、すでに仕入先と販売先との間で商品・金額・決済条件などの取引内容は決まっています。そこに、わざわざ第三者を介入させるのには、何か理由があるはずです。
 考えられる理由の一つに、仕入先が販売先への与信リスクを回避することがあります。仕入先にとって販売先は信用を供与するに値しない、つまり、信用力が低い先だということです。そこに自社が介入するということは、自社が販売先に対する与信リスクを引き受けるということであり、販売先が倒産した時には、自社が貸倒れを被ることになります。

  • 2、仕入先の資金負担軽減のための介入依頼

 また、仕入先の資金負担を軽減するために、取引への介入を依頼してくることがあります。この場合、販売先からの回収サイトよりも仕入先への支払サイトが短く、自社が運転資金を負担する形になります。自社の資金繰りへの影響に注意します。また、この取引では、仕入先が資金を早く回収しようとしているため、仕入先の資金繰りが厳しい可能性も考えられます。
 販売先についての分析だけでなく、仕入先の経営状態や資金繰り状況についても十分に調査を行うことが望ましいと言えます。

  • 3、循環取引(環状取引) 

 介入取引の中には、取引のいずれかの時点で商品が元の持主に戻る循環(環状)取引や発注書や納品書等の書類のやり取りだけで実際には商品が伴わない架空取引である場合があります。仕入先や販売先の個別の分析だけでなく、仕入先と販売先の関係性や扱う商品、商流に関する調査も行います。

 さらに、実際に取引が開始したら、注文書等の書類の確認だけでなく、実際に商品がきちんと受け渡されているか確認するようにしましょう。








 

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