取引先リスク管理Q&A ~取引先が合併した! 何に注意すればいい?~

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Q.取引先が合併した! 何に注意すればいい?

A.
 取引先が合併するとの情報を入手した時は、まず合併の目的を確認します。
 合併は、事業規模の拡大や新規事業への参入のためだけではなく、製造子会社、販社の統合、事業部ごとに分社化していたものの統合、あるいはグループ内で経営が行き詰まった会社の救済をするための企業内のリストラ(再構築)の一手段などとしても利用されます。どういう意図で合併を行うのかをきちんと把握することが大切です。

解説

  • 1、異議申立ての検討

 企業が合併する場合には、官報にて公告し、かつ、債権者に対して個別に催告が行われます。公告に異議申立てができる期間が明記されていますので、異議を申し立てるか否かを検討し、申し立てる場合には、期間内に行う必要があります。
 異議を申し立てた場合には、消滅企業等から自社に対して、債権の弁済、相当の担保の提供もしくは信託会社等への相当の財産の信託がなされます。

  • 2、合併後の取引継続の検討

 取引先が消滅企業であっても、合併により消滅企業の一切の権利・義務は存続企業に移転となるため、取引先と締結した契約は存続企業に移転され、存続企業と取引が継続されます。しかし、合併は、事業の再構築のために行われることも多く、存続企業が事業の見直しを行い、一部の事業から撤退をする可能性は大いに考えられます。消滅企業との取引に関係する事業が、撤退する事業に含まれないか注意すべきです。
 また、取引先が他社に事業譲渡する場合には、より注意が必要となります。事業譲渡では、従前の取引先との取引を継続するか否かは譲受企業の判断となり、譲渡企業の債務は原則として譲受企業に引き継がれません。取引先との取引に関係する事業が事業譲渡の対象となっている場合には、今後譲受企業と取引が継続されるか否かに注意しなければなりません。
 また、債権は譲渡企業に対するものですので、事業譲渡後の譲渡企業の支払能力の有無を検証する必要があります。

  • 3、存続企業との取引方針の検討 

 取引先が消滅企業の場合、今後は今まで取引していた企業とは別の企業と取引することになるので、存続企業の信用力を評価し、信用力に見合った取引を行っていく必要があります。存続企業の情報を収集し、自社の取引先としてふさわしいか、どれくらいの取引を行っていくか、自社としての取引方針を検討する必要があります。
 さらに、消滅企業と締結した契約内容を確認し、契約解除条項に合併要件が含まれていれば、存続企業が取引先としてふさわしくない場合には、契約を解除することができます。
 取引先が存続企業の場合、消滅企業の事業が存続企業に与える影響を調査する必要があります。存続企業の事業は順調でも、消滅企業の事業が足を引っ張ったり、思わぬ負債を抱えることになったりして、存続企業の業績や財務内容が悪化する場合もありますので、注意が必要です。



 


 

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