取引先リスク管理Q&A ~取引信用保険って何?~

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Q.取引信用保険って何?

A.
 取引信用保険とは、自社が保有する債権に対して、保険会社などの第三者が保証することで、貸倒れに対する保全を図ることができる金融サービスです。
 取引信用保険と同様に第三者に債権リスクを転嫁する方法として、債権保証サービスやファクタリングなどが挙げられます。いずれも取引先を変更することなく、貸倒れリスクを軽減することができるため、債権保全の有効な手段の1つと言えます。

解説

1、取引信用保険

 一般的な取引信用保険の特徴としては「一定数以上の取引先に対する債権を包括的に契約する」、「スポット契約は不可」などの制約がありますが、「保険料率は債権保証サービスなどに比べて安い」といった利点があります。

 取引信用保険は、大手損害保険会社や取引信用保険を専門とする会社などが販売しています。各社で引き受ける条件などが異なるので、自社の取引実態に適合した保険を選ぶことが重要です。

2、債権保証サービス

 債権保証サービスの特徴としては「取引信用保険よりも保証料率が高い」反面、「個別の取引先または債権に対して契約可能」、「取引先が倒産前の状態でも支払遅延が発生すれば支払いを受けられる」といった利点があります。
 取引信用保険では、包括的な保証により優良な取引先も保証対象に含まれてしまうため、無駄なコストが発生するデメリットがありますが、債権保証サービスの場合は、信用力の低い先のみでも保証が付けられるため、効率的な付保が可能となります。
 リスクモンスターの債権保証サービス(Secured Monster)では、保証会社と提携し、保証料率や保証限度の審査を信用格付(RM格付)と連動させるサービスとなっており、信用力の低い取引先に対して1社単位から保証を掛けることができます。

3、ファクタリング

 ファクタリングは、その効果は債権保証サービスと似ていますが、「売掛債権をファクタリング会社へ売却することで、債権リスクをヘッジする」という点で異なります。
 ファクタリングのメリットとしては、売掛債権を回収期日前に資金化できるため、流動性を高めることができます。また割引手形のように、回収不能となった場合に自社が買い戻す義務がない点も大きな利点と言えます。
 ただし、ファクタリングは債権譲渡にあたり、契約上で債権譲渡禁止の特約を設けている場合は適用不可能となるため、注意が必要です。

4、保証サービスの使い方

 保証会社も利益を出さなくてはならないため、回収が不可能となる可能性が高い取引先に対しては、「保証は拒否される」、「保証料率を高く設定される」、「保証限度額を制限される」等の回答が考えられます。利益率の低い取引に対して高い保証コストを掛けることは、採算性の悪化を招きますので、取引条件を加味した保証サービスの活用を心掛ける必要があります。

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