審査部門の予算策定術(5)~与信管理目標達成のための年間計画~

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審査部門の予算策定術(5)~与信管理目標達成のための年間計画~

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 会社経営において、投資はできるだけ効果を考えて行い、経費は最小限に

抑えることが重要課題です。審査部門においてもこれは同様です。

ど れだけのコストをかけるのか、経営上の決定事項ですが、少しでも審査

部門の考えや、ビジネスの成長につなげるために審査部としてやるべきことを

経営者側に明確に伝えることで、その意思決定に関与または影響を与える道を

探るべきです。コスト削減するだけがよいことではないのは自明です。

 1月~2月にかけて全8回に渡り、自社の与信リスクの現状を示しながら、

審査部門として機能を果たすために必要な予算をどう獲得するか、あるいは

どう使っていくかを一緒に考えたいと思います。今回は、与信管理予算策定に

おいて重要な年間計画の立て方について考えていきます。

2.年間計画を立てましょう

(3) 目標を実現する年間計画を

 現状把握ができ、目標設定が完了し、具体的な管理手法が確定したら、いよいよ

次は年間計画の策定になります。

 1年間の仕事を始めようという期初に真剣に計画を考え、必要に応じ修正しながら

その解決策を提案し続けるという積極的な姿勢を打ち出すことが、審査部門の存在意義

を高めることは間違いありません。

与信管理の精度向上のためにあらゆる施策を打ち出す姿勢は重要ですが、人員や

工数を踏まえながらも、時期を逸しないよう計画を策定するのが、肝要になります。

 以下に審査部門による与信管理の年間計画を表にまとめました。

【表】審査部門の年間計画(3月期決算の企業のケース)

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 取引先の全体見直しは、3月決算の最新データが出揃う8~10月と予算策定への

材料とする2~3月が理想的です。またその結果を受け、リスクが高い先への対処を

次の四半期に取るようにします。また与信マインドが浸透するよう、社員研修に関し

ても積極的に計画に組み込みましょう。

 これまでは、ポートフォリオ分析や情報収集について取り上げてきました。そこで

今回は年間計画に組み込むべき与信管理教育について解説していきます。

【与信管理に必要な能力】

 企業の与信管理のレベルは、管理部門が必死に対策を行えば向上するものはなく、

従業員一人ひとりの与信管理マインドと能力の高さによって決まると言っても過言では

ありません。したがって、管理部門が積極的に与信管理教育をを計画し実施していく

ことが重要となります。

【カリキュラムの策定】

 与信管理に携わる従業員が必要な能力を身につけ、その能力を維持・工場させるため

には、戦略的かつ計画的な実施が不可欠です。人材育成、組織活性化のカギは、「一人

ひとりの行動様式を変えること」です。これを実現していくためには取り組みを継続して

いく必要があります。そのために、与信研修を年間計画に組み込むべきなのです。

 審査部門は人事部門と調整して年間の与信管理教育・訓練計画を策定し、実施を確実な

ものとする必要があります。この場合、人事部門が作成する全社的な教育・訓練計画の中に、

与信管理研修を組み込む形でもいいです。なお、カリキュラムとスケジュールを策定する

ためには次の4つの事項を考慮しなければなりません。

①経営目標との整合性

②与信管理上の課題

③従業員の役割や現状の能力に応じた教育項目

④教育結果が客観的に評価できること

【与信管理教育の実施】

 各部門は、教育・訓練計画に従って教育・訓練を実施します。教育・訓練は、目的・業態・

設備・予算・スケジュールに応じて、OJTとoff-JTを最適な形で組み合わせて実施します。

しかし、これらの教育に関しては、自社の教育体制が整っていなければ困難であることから、

すべて社内で行うことに限らず、一部を第三者に委託することも視野に入れる必要があります。

第三者による外部研修では、社内では得にくい知識を得ることや、客観的な研修内容により説得

が増すため、受講者の学習効率が向上することが期待できます。

【与信管理教育の重要性】

 与信管理は、その戦略を実現する人的資本で決まります。ここに教育を投下することで、

個々人の能力が向上し、企業の成長は実現していきます。日ごろから現場の営業担当者に

教育や訓練を行い、意識、知識、力量のレベルを上げていくことが重要です。そのため、

与信管理教育は年間計画に組み込まなければならないのです。

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