格付に客観的な根拠を持たせる方法とは?【会社格付制度】

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りすもん与信管理講座~格付に客観的な根拠を持たせる方法とは?~

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 会社の信用力について高低を評価することは、簡単なようで非常に難しいものです。

あの会社は収益力が高いが財務面は少し弱い、この会社は収益力が低調推移しているが

財務は良好…といったように、どちらの会社の信用力が高いのか判断できない、

仲の良い会社や、昔からつきあいのある会社は「色眼鏡」で見てしまいがち…という

悩みは与信管理につきものです。そこで12月は4回にわたり、「会社格付制度」に

焦点をあて、格付制度を用いて与信管理業務を強化するポイントをお話しします!

【会社格付のポイント】

 会社格付の基準を定める際のポイントとして、次の4点に注意する必要があります。

① 客観性

 第一のポイントとしては「客観性」があげられます。通常、会社格付は現存する企業群の

標準的な財務指標を基準として、取引先の財務指標等を点数化し、定性項目によって加減

することにより、信用力を判定してランク分けを行います。

 こで重要なことは、与信管理は貸倒を回避するための仕組みなので、生存会社だけでなく

倒産会社も分析し、その標準的な財務指標をもとにランク分けする点です。自社の取引先だけ

の比較すると、厳しくしすぎたり逆に甘くなったりすることになり、リスクに対して的確な

手を打てなくなる危険性があります。

 株主、金融機関、重要取引先などのステークホルダーに説明できるようにするためにも、

できるだけ多くの企業を分析した結果を格付に反映させた客観性のある基準にしなくてはなりません。

 一方で、自社で評価モデルを構築できない場合は、外部評価を利用することも検討すべきです。

その際は、評価の特徴をよく理解しておくことが重要です。

② わかりやすさ

 第二のポイントは「わかりやすさ」です。与信管理とは意思決定のプロセスでもあり、

会社格付の基準がわかりにくければ、意思決定やそれに基づく行動に移れません。社内全体が容易に

把握できるものにしておくことで、現場が自発的に、すばやく行動に移すことができるようになります。

また社内の共通言語化することは、与信マインドを向上させる効果も期待できます。皆さんの会社では

会社にランク付けを行う際、どれくらいの段階にわけていますか?

5~6ランク程度が現実的な指標数です。


③ 管理方針

 第三のポイントは、「管理方針」です。取引シェアが高率となる信用を供与する取引先は、

または問題が発生した先は、集中的な管理を必要とします。一般的に、全取引の中で、集中的に

管理すべき取引先1~2割あると言われています。したがってこのような取引先は、一般の取引先と

異なることが明示的にわかるように格付を付与することで、管理レベルがはっきりします。

また格付を見ただけで特別な取引先であることがひと目でわかり、注意が払われることになるので、

営業ロスや与信リスクに増加を未然に防ぐことができます。

④ モニタリング

 取引先に関する情報を継続的に入手し、信用力の変化をとらえることも重要です。取引先に重大な

変化が生じた際は、遅滞なく格付の見直しや変更を行わなければなりません。また、こうした過去から

付の変遷を調べることで、取引先の信用力の動きが把握できるようにもなります。

 経済情勢の変化によって、倒産する会社の傾向は変化します。景気が良くなって倒産する会社の数が

減っているにも関わらず厳しい基準を適用していると、販売機会を失うことにつながるなどの問題が

発生する場合があります。したがって、自社の基準が想定した倒産確率とどの程度外れているのかについて、

現存する企業全体を分析することで確認し、定期的に基準を見直し、その変化にも対応したものに

しなければなりません。

 

以上のように、客観的かつわかりやすい指標を用いることで、与信管理の精度が高まります。

今一度、お使いになられている指標にどのような特徴があるのか確認しましょう!

第3回は、会社格付が出来上がるまでに必要な情報や、そのフローについてお話しします。

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