信用調書の活用法 (第2回)~国内信用調書を利用する
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「信用調書の活用法 (第2回)~国内信用調書を利用する」
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信用調書とは、信用調査会社の調査員が直接現地に出向き、取材調査を行うことにより作成されます。
企業の状況が10~15ページ程度でまとめられており、与信判断の材料として非常に適しています。
今回は実際の利用方法や調書の読み方などを紹介していきます。
第2回 信用調書を利用する
【信用調書の内容】
信用調書は、信用調査会社によって多少異なりますが、おおむね次のような項目が記載されています。
① 企業概要、登記事項 (商号、所在地、設立年月日、資本金、株主、沿革など)
② 代表者、労務状況 (生年月日、現住所、略歴、関係事業、従業員数、労務状況など )
③ 営業状況 (営業品目、営業方式、主要仕入先、外注先など)
④ 業績、資金、財務状況 (既往の売上、利益、配当、業績、取引銀行、借入状況など)
⑤ 規模、設備概要、手持ち工事 (支店、出張所、工場などの所有地、面積、機械設備など)
⑥ 不動産調査 (不動産表貼付、登記事項証明書または要約書など)
【入手費用と入手までの速度】
信用調書にかかる費用は調査会社によりさまざまですが、一般的には調査会社の会員になり、
通称「調査チケット」を前払いで購入します。ここで注意しなければならないことは、
調査チケットの有効期限が1年間であるということです。枚数が多いほど単価は安くなりますが、
1年間で使い切れない時は無駄が発生し、コスト増になります。このため、1年間で調査する取引する
取引先の数を予想し、それに近い枚数の調査チケットを購入します。
一般的に新規調査1件あたりのコストは、付帯費用 (速度料、交通費、公簿閲覧料など)を入れて
3万円前後です。速度料とは、調査を急ぐ場合にかかる費用です。「超特急」や「超々特急」といった場合は、
プラスされた料金となります。通常の新規調査は1ヶ月、超特急では2週間程度の日数を要します。
既調(他社が調査依頼して作成された調書のコピー)が利用できる場合は、一般的に調査日から
一定期間を超えたものであれば
調査チケットは2分の1ですみ、しかも調査実費も速度料もかかりません。
(ただし、信用調査会社により差があります)。
このように、新規調査か既調購入かで費用に違いが出てくるので、調書の必要性に応じて依頼をするとよいで
しょう。
また、会員向けの割引料金などを設定している信用調査会社では、上記金額の半額程度ですむ場合もあります。
【利用目的を明確にする】
◆新規取引先に活用する場合
新規の取引の場合、相手の資料がまったくなく、代表者がどういう人物で、どのような店構えなのかもさっぱり
わからないというケースがよくあります。このような時、信用調書で相手の概要をつかむことは大変有効です。
初対面様子のわからない相手の場合、相手の話をどこまで信用してよいかもわからないものです。このような
場合、信用調書によって直接得た情報の裏付け、補完ができます。新規に取引を行ってよい先かどうか確認する
上で、信用調書の利用価値は非常に大きく、必ず取得するべきと言えます。
◆既存の継続取引先の信用調査に活用する場合
既存の継続取引先の場合、不安材料などの早期発見の為に、少なくとも年に1回は相手先の内容を調べる必要が
あります。ただ、取引を続けていくうちに日々の営業活動を通じて情報入手もしやすくなってきます。決算書な
どの資料の入手や、訪問した時の相手先の変化などをしっかりフォローしていれば、必ずしも信用調書を入手し
なければならないとは言えないでしょう。
しかし、次のような場合は信用調書を入手し、相手先の内容を確認すべきと言えます。
・取引が増加した時
・決算書内容に大きな変化や不明な点が生じた時
・信用不安情報が出た時
・多額な設備投資など、重要な変化が生じた時
・決算書など、十分な資料入手ができない時
◆取引の拡大に活用する場合
信用調書をいうと、取引の安全を図って危ない取引をさけることのみをイメージしてしましがちですが、営業活動
の拡大を図る目的としても有効に活用できます。商談成功の鍵は、取引先のことをよく知ることです。
取引先の歴史、背景を踏まえて商談すれば、「よく勉強してきているな」と取引先からの評価を得られ、社長の
経歴から営業畑、技術畑かなどの人物像を把握すれば、得意分野の話を持ちかけることができます。また設備投資
などの計画がわかれば、他社に先んじてさまざまな提案をおこなうことができます。
【信用調書を読むには】
これまで説明したように、取引先の信用調査や営業拡大に大変有効な信用調書ですが、読む時には次のような点に注意する必要があります。
① 信用調書からは事実を読み取るにとどめ、あくまでも自分の意見とすることがないようにしましょう。ベテラ
ンの調査員による調査結果といえども、時には主観が入ってしまう場合があります。
また、調査員によって評価が異なる場合もあります。評点、総評を信用しすぎずに、何が事実なのかを
見極めることが重要です。
② 信用調書の内容をそのまま書き写して自分の意見とすることがないようにしましょう。信用調書は自社の調査
ベースに使い、読み取った事実を踏まえて、さらに事前でさまざまな面から調査・分析をしていくようにすべ
きです。信用調書は意思決定の材料にすぎません。
③ 信用調書は自社の調査のベースに使い、読み取った事実を踏まえて、さらに自前でさまざまな面から
調査・分析をしていくようにすべきです。最も信頼すべきは、自社の営業担当者の直接面談による調査です。
④ 取引先の信用力に対する結論は信用調書に依存せず、最終判断はあくまで自社で行います。取引先の可否
の判断については、最終的に自社の責任とについては、最終的に自社の責任となります。信用調書に責任を転
嫁することがないようにしましょう。
第二回は、信用調書の利用・活用法ついての講座でしたがいかがでしたでしょうか。
次回は、海外企業の調査について紹介していきます。