「モノ」の変化の情報を見逃すな!

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りすもん与信管理講座

「与信管理講座 数字に表れない情報の分析~経営の3要素~」

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第2回:モノの面に表れる危険な兆候

 企業の経営資源は、「ヒト」「モノ」「カネ」の3つの要素で成り立っていると言われています。

企業は、これらの要素が密接に絡み合って運営されます。

 したがって、会社が資金繰りに窮するような状況である時、つまり「カネ」の定量面に問題が

ある場合は、必ず「ヒト」、「モノ」などの定性面においても問題点が表れてきます。そのような

変化を見逃さずにいれば、仮に決算書が粉飾されていても、または決算書を手に入れていなくても、

倒産の予兆に気づくことができるのです。

 前回に引き続き、「決算書に表れない情報の分析」をご説明します。

第2回は、「モノ」の情報について講義をすすめて参ります。企業の3要素といわれる

「ヒト」・「モノ」・「カネ」のうち、「モノ」に関する情報には、商品力や技術力、競合状況、

設備の更新状況、土地の所有状況などが含まれます。

・商品力、業界(種)・動向

最近は、商品や製品の流行のサイクル(ライフサイクル)が短くなっているので、

取引先の商品や製品が成長期で伸びていく傾向にあるか、衰退期で需要が減退していく

傾向にあるのかを見極める必要があります。単一商品しか扱っていない企業では、新商品や競合商品

の登場によって致命傷を受けかねません。また、業種が連続性なく変化している会社は注意が必要です。

いわゆる「パクリ屋」(取り込み詐欺を働く業者の俗称)の可能性があるので情報の変化を押さえるべきです。

加えて、取引先の業界関連の法制度の変更や、市況性のある商品であれば商品価格の変化なども調べ、

業界における地位やその業界動向についても確認します。例えば、材料価格の高騰が続いてる場合、

そのコストを販売価格に転嫁できなければ、採算悪化が進む可能性があります。また、業界が海外に

仕入・生産拠点を移す傾向にある製品を生産する業界であれば、その原材料を供給してきた企業は、

先行きに不安のある先として注意する必要があります。

・競合先の動向

 取引先の地域・業界には競合相手は多いか、新規参入する障壁は高いか低いかを見る必要があります。

その上で、取引先はその競合相手と比べて競争力があるかどうかを調べることが重要です。

 近年は、同業同士で争うだけでなく、異業種も競合相手になり得る時代となっています。

レストランなどの外食産業は、同業間の競争だけでなく、コンビニやスーパーの惣菜部門、持ち帰りが

できる弁当屋やファストフード店、コーヒーショップなどとの競争にも勝ち抜かなければなりません。

広い目で競合相手を見ていく必要があります。以上のように、アンテナをしっかりと張り、変化を

キャッチすることで、より具体的な施策がとれるようになるのです。

・店舗や工場、設備の状況

 店舗や事務所の立地条件が悪いと、売上やコストに大きな影響を及ぼします。人通りの悪いところに

店舗を設けても、なかなか販売は伸びません。また、販売先から遠い場所に工場がある場合は、商品を

すぐに納品できず、余分な在庫を抱えてしまうハンデがあります。さらには輸送コストが余計にかかり、

負担が大きくなります。このように立地条件は大きなポイントになります。

 また工場設備の更新状況や稼働状況もチェックしましょう。古い設備で生産していると、他社の

新しい設備で効率的に生産された製品に勝てなくなる可能性があります。また、設備が新しくても

稼動状況が悪ければ、設備投資のための借入に対する返済や、金利の負担が大きくなります。

さらに、事務所や工場・設備が社有かどうかもポイントになります。社有の資産であれば、

それを担保にして資金を調達することができます。不動産の登記を調べれば、銀行に担保として

差し入れているかどうかも分かります。

仕入先の経営基盤が弱ければ、商品や製品を安定して調達することができず安定した生産活動ができません。

また、逆に販売先が安定していない場合、受注基盤が確立しておらず、安定した販売活動はできません。

上位の仕入先・販売先が、急に規模の小さい会社に変わる、もしくは信用力の低い会社に変わるということは、

「何かウラがある」と疑ってかかるべきです。以上のように、仕入先や販売先の変化は資金繰りに

直結しやすいことから、確実にキャッチすべき情報といえます。

 このように「モノ」の情報についても、変化についてタイムリーにとらえ、変化の理由、変化した後の

影響について確認をしていくことで、倒産の予兆を的確にとらえることができるようになります。

次回は「カネ」の情報についてご紹介します。

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