「ヒト」の変化の情報を見逃すな!
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りすもん与信管理講座
「与信管理講座 決算書に表れない情報の分析~経営の3要素から~」
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第1回:ヒトの面に表れる危険な兆候
企業の経営資源は、「ヒト」「モノ」「カネ」の3つの要素で成り立っていると言われています。
企業は、これらの要素が密接に絡み合って運営されます。
したがって、会社が資金繰りに窮するような状況である時、つまり「カネ」の定量面に問題がある場合は、
必ず「ヒト」、「モノ」などの定性面においても問題点が表れてきます。そのような変化を見逃さずにいれば、
仮に決算書が粉飾されていても、または決算書を手に入れていなくても、倒産の予兆に気づくことができるのです。
そこで今月は、4回に渡り「決算書に表れない情報の分析」をご説明します。
初回は、「ヒト」の情報についてくわしく見ていきましょう!
・代表者の能力・資質
特に中小企業では、株主と代表者が同一であるオーナー経営者である場合が多いです。
そういった代表者は、経営にかかわるすべてを取り仕切っていることが多く、その手腕や理念が企業の将来を大きく左右します。そのため、代表者に変更があった場合は、その理由についてよく調査しましょう。
また新しい代表者の経歴などを調べ、その得意分野を把握することが大切です。
営業畑であれば数値に明るくないことで管理面に甘さが出る可能性もありますし、
管理畑であればセールス面に支障がでるかもしれません。変更を契機に経営がどのような影響を受けるのかを確認しましょう。
・株主
株主は会社の持ち主であり、その構成により企業の特質が決まります。
大株主は誰で、全体の何%保有しているかを調べることで、実質的に経営を支配している母体を確かめることができます。
一般的に優良企業の子会社や孫会社など系列下にある場合は、与信面で大きなプラスと考えてよいと思われます。
仮に、子会社の業績が悪化したとしても、社会的な責任から親会社が子会社の支援を行うケースが多いからです。
ただし、株式の保有比率や本業との関わりの深さによって支援態勢は変わってきますので、見極めが必要になります。
株主構成やその出資比率が変わった場合には、その理由を逐次確かめることが重要です。
大株主が比率を下げている場合には、撤退をする準備のために関与を薄めている懸念もあります。
また従来一族経営であった企業に、突然、全く異なる株主が入ってきた場合は、
業績不振から株主が経営権を手放し、新しい株主が経営のテコ入れを行っていることが考えられます。
このような場合は、その目的や支援体制を確認しましょう。
・役員
代表者や株主だけでなく、役員について変化を追いかけることも同じように重要です。
他社から役員が出向してきた場合は、経営の建て直しのために株主や取引先、
金融機関などから派遣されてきていることも考えられます。そのため、新任役員の経歴などもチェックをしましょう。
逆に出向役員が引き上げてしまった場合は要注意です。業績が良くなったことが理由ならいいのですが、
そうでない場合は経営が悪化し、見放されたという可能性もあります。変更の理由についてはタイムリーに見直しをすることが重要です。
・従業員
「ヒト」の情報で重要であるのが従業員。従業員の数の変化を捉えることも大切です。
数字が大きく減少している場合は、リストラの可能性があり、業績が不振となっている懸念があります。
リストラが行われている場合は、従業員の規律・モラルが下がり、ミスが多くなって製品トラブルなどが引き起こされる懸念もあります。
特に、核となる社員が退職したり独立したりすると、さらに経営が弱体化する恐れもあります。
逆に人員が増えた場合に、売上が減少すると採算の悪化が一気に進む可能性があるので、注意が必要です。
このように情報の変化についてタイムリーにとらえ、変化の理由、変化した後の影響について確認をしていくことで、
倒産の予兆を的確にとらえることができるようになります。
次回は「モノ」の情報についてご紹介します。