調査結果発表:第2回 新型コロナウイルスによる影響アンケート(リスモン調べ)
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リスクモンスター株式会社
データ工場
2020年4月7日、新型コロナウイルスの感染拡大に対する「緊急事態宣言」が発令されたことに伴い、「第2回 新型コロナウイルスによる影響アンケート」を実施した。今回、リスクモンスターが独自に行った調査(4月8日~9日実施)に対しては210社から回答が得られ、製造業、小・卸売業を中心に約4割の企業が「業績は悪くなった」と回答し、約8割の企業が「今後の業績は悪くなると思う」と回答する結果となった。緊急事態宣言を受けて、各社の警戒感がさらに高まっている様子が表れている。
既に、新型コロナウイルスの影響によって、旅行業や宿泊業、旅客輸送業などの観光関連産業を中心に、小売業、外食産業、娯楽・レジャー産業などにも幅広い範囲で損失が生じており、製造業においては工場の稼働停止が相次いでいる。今後さらに新型コロナウイルスの影響範囲が拡大していくことが懸念される。事態の終息まで長期を要する可能性が高まっていることから、政府が4月7日に閣議決定した「緊急経済対策(事業規模108兆円)」の迅速な実施を期待する一方で、企業では今まで以上にリスク管理体制の強化が必要な状況といえよう。
【Q1】2020年1~3月の業績は、前年同期と比較してどのように変化しましたか?
2020年1月~3月の業績について前年同期からの変化を聞いたところ、「変わらない」(回答率47.6%)が最多となり、「悪くなった」(同37.6%)、「良くなった」(同14.8%)の順となり、4割近い企業において業績が悪化していることが明らかとなった。
業種別では、悪化の影響度が最も高く表れたのが「製造業」(回答率39.7%)であり、次いで「小・卸売業」(同39.5%)、「サービス業」(同36.7%)の順となった。良化の影響度が最も高く表れたのは、「サービス業」(同23.3%)であり、「小・卸売業」(同19.8%)においても良化傾向が高く表れている。「小・卸売業」および「サービス業」においては、他業種に比べて業績変動が悪化と良化に二分しやすい傾向にあることがうかがえる。一方で、「建設業」においては、「悪くなった」(同23.1%)、「良くなった」(同7.7%)ともに他の業種に比べて低水準にあることから、2020年1月~3月における新型コロナウイルスの影響としては、限定的であったことが表れている。(図表A)
【Q2】緊急事態宣言後の業績は、どのように変化すると思いますか?
緊急事態宣言が発令されたことによって、新型コロナウイルスの影響により今後の業績にどのような影響が生じるかについて聞いたところ、「悪くなると思う」(回答率80.5%)が最多となり、「変わらない」(同17.6%)、「良くなると思う」(同1.9%)の順となった。
業種別では、悪化の影響度が最も高く表れたのが職業紹介・労働者派遣業や運輸業などを含む「その他」(回答率82.6%)であり、「小・卸売業」(同81.5%)、「サービス業」(同80.0%)などすべての業種において8割近い企業が「悪くなると思う」と回答した。中でも[Q1]において、2020年1~3月の業績悪化の割合が最も低かった「建設業」においても、76.9%が今後の業績は「悪くなると思う」と回答しており、今後の景気の悪化に対して懸念を抱いている様子がうかがえる。(図表B)
【Q3】新型コロナウイルスの影響はいつまで続くと考えていますか?
新型コロナウイルスが自社の事業に影響を及ぼす期間について聞いたところ、最も回答率が高かったのは「2021年以降も続く」(回答率25.2%)であり、次いで「2020年末まで」(同24.8%)、「2020年夏まで」(同20.0%)、「2020年秋まで」(同17.6%)の順となった。
リスクモンスターが3月19日に発表した「第1回 新型コロナウイルスの影響アンケート」調査では、新型コロナウイルスの影響が「今後半年以上影響が続く」と予想する回答は33.3%であったのに対し、今回のアンケートでは67.6%と倍増した。前回アンケート調査からの1か月弱の間、日本国内における感染拡大が続き、今般の緊急事態宣言の発令に至ったことなど、依然として状況が悪化の一途にあることが、影響長期化を予想する回答の増加につながっているものと考えられる。(図表C)
【Q4】緊急事態宣言発令後において、自社ではどのような新型コロナウイルス対策が行われていますか?
緊急事態宣言発令後の各社の対応について聞いたところ、「出張の延期・中止・禁止」および「セミナー・展示会等の催事の延期・中止」(回答率各93.3%)が最も多く、次いで「テレワークの導入」(同83.8%)、「自社施設の稼働休止」(同74.3%)、「TV会議の導入」(同73.3%)、「営業活動の自粛」(同72.9%)、「フレックスタイムの導入、短時間勤務の導入、残業の制限」(同70.0%)の順となり、これらの対策においては、7割以上の企業が取り組んでいることが明らかとなった。「第1回 新型コロナウイルスの影響アンケート」調査では、「テレワークの導入」、「来客の制限」、「営業活動の自粛」に対する回答率は4割に満たない状態であったが、新型コロナウイルスの感染拡大が続く状況下で、企業側の対応も強化されている様子がうかがえる。(図表D)
【Q5】緊急事態宣言発令後において、どの程度の社員数が出社していますか?
緊急事態宣言発令後に、出社している社員の割合について聞いたところ、「8割超」(回答率50.5%)が最も多く、次いで「5割未満」(同21.9%)、「5割~8割程度」(同16.2%)、「5割程度」(同11.4%)の順となり、緊急事態宣言発令後においても、「8割超」の社員が出社している企業が全体の半数以上を占めている実態が明らかになった。一方で、出社している社員が「半数以下」となっている企業も全体の3分の1に達しており、企業間で対応に差が生じている状況となっている。
業種別では、「製造業」、「小・卸売業」、「その他」では、「8割超」の割合が半数を超えている一方で、「サービス業」においては「5割未満」(回答率43.3%)の割合が最も高くなっている。人と接触する頻度の高く、娯楽やレジャーなど不要不急の対象となり易い「サービス業」においては社員の出社を控える企業が多く見られる様子が浮き彫りとなっている。