調査結果発表:第1回 東京オリンピック・パラリンピック延期の影響アンケート(リスモン調べ)
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リスクモンスター株式会社
データ工場
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受けて、IOC(国際オリンピック委員会)は、2020年7月24日に開幕する予定だった東京オリンピック・パラリンピックを1年程度延期することを発表した。選手への影響はもちろんだが、東京開催が決定した7年前から様々な準備をしてきた企業にとっても、開催からわずか4か月前の延期は影響が少なくないだろう。
今回「東京オリンピック・パラリンピック延期の影響アンケート」として、リスクモンスターが独自に行った調査(3月25日~26日実施)に対しては、128社から回答が得られ、75.0%の企業においては「自社の業績は変わらない」と回答したものの、サービス業を中心に21.1%の企業が「今後自社の業績は悪くなると思う」と回答した。
3月19日に発表した「第1回 新型コロナウイルスの影響アンケート」調査では、オリンピック延期の原因となった新型コロナウイルスの影響によって、約7割が業績の悪化を見込む中、本調査ではオリンピック延期によって業績の悪化を見込む企業は約2割に留まった。
業種別では、新型コロナウイルスの影響によって今後の業績悪化を見込んでいた業種が「小・卸売業」や「製造業」であったのに対し、オリンピック延期の影響が大きいと回答した業種は「サービス業」や、職業紹介・労働者派遣業や運輸業などを含む「その他」業種であった。訪日外国人の増加等によるオリンピック特需を見込んでいた業種における影響の大きさがうかがえる。
東京オリンピック・パラリンピックは、ひとまず1年程度の延期という判断となったが、正式な日程は依然不明であり、様々な可能性を考慮すると企業としては慎重にならざるを得ない。
特需を見込んで人員の増加や設備投資、商品開発などを実施していた企業にとっては、今回の延期によって資金的な負担が生じうるものであり、オリンピック延期倒産が発生する可能性もある。コロナウイルスによる景況悪化によって予断を許さない状況が続いているだけに、リスク管理体制の更なる強化が必要な状況にあるといえよう。
【Q1】東京オリンピック・パラリンピックの延期によって、自社の業績はどのように変化すると思いますか?
オリンピック延期の影響による自社の業績の見通しを聞いたところ「変わらない」(回答率75.0%)、が最多となり、「悪くなると思う」(回答率21.1%)、「良くなると思う」(同3.9%)の順となった。
業種別では、最も影響度が高く表れたのが「サービス業」であり、36.4%が「悪くなると思う」と回答した。次いで、「小・卸売業」の21.1%が「悪くなると思う」と回答している。一方で「製造業」においては、91.7%が「変わらない」と回答しており、オリンピック延期に対する影響の小ささがうかがえる。
【Q2】自社の業績が悪くなる・良くなると思う理由
東京オリンピック・パラリンピックの延期によって「自社の業績が良くなる」、「自社の業績が悪くなる」との回答者に対してそれぞれ理由を聞いたところ、良くなると思う理由については「自社製品が巣ごもり消費関連であるため」といった回答があり、悪くなると思う理由としては「需要の先送りによる景況悪化」や「オリンピック関連イベントの延期・中止による受注減」、「訪日外国人客の減少による消費減退」などの回答が目立つ中、「オリンピック需要を見込んでホテル事業に進出していた」など、新規事業の立ち上げに対して影響を訴える声もあった。
【Q3】東京オリンピック・パラリンピックの延期によって、自社において影響が生じる項目を選択してください。
東京オリンピック・パラリンピックの延期によって、どのような企業活動に影響が生じるのか聞いたところ「テレワーク・時差通勤等の対応」(回答率34.4%)が最も多く、次いで「商品・製品の仕入・生産計画」(同32.8%)、「商品・製品の販売計画」(同32.8%)、「イベント・プロモーション等の見直し」(同30.5%)、の順となった。
オリンピック開催期間の混雑緩和に向けて、東京都庁が昨年7月から時差通勤を開始するなど、テレワークの活用やフレックス制の導入を計画していた企業も多かったようだが、新型コロナウイルスの影響によって前倒して導入していた企業も含めて、オリンピックの延期によって見直しを迫られることになりそうだ。
また「商品・製品の仕入・生産計画」や「商品・製品の販売計画」と回答した企業も多く、オリンピックに合わせて予定していた商品・製品に関する計画の見直しを迫られている企業が多い様子がうかがえる。