調査結果発表:第1回「AI技術のビジネス活用に対する意識」調査結果(リスモン調べ)

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リスクモンスター株式会社
データ工場

第1回「AI技術のビジネス活用に対する意識」調査

 

 2022年末頃から、対話型AIのChatGPTが注目を集め始め、ビジネス分野でのAI技術の活用が加速していることを背景に、各種AI技術の業務効率化への寄与について、リスクモンスターが独自に、ビジネスパーソンを対象とした「ビジネス活用に対するAI技術の意識調査」(2024年11月29日~12月2日実施)を行ったところ、1,000人から回答が得られた。

 属性別にみると、「30代以下」や、「ベンチャー企業勤務者」において使用率が高く、新しい技術に敏感な若年層やベンチャー企業勤務者での使用率の高さが特徴的となった。世代別において、中高年層の使用率は低い傾向にあるものの、他方で中高年層が多いと考えられる「管理職(課長以上)」の使用率は半数近くに達しており、判断の迅速化や業務の効率化が求められる管理職においては、AI技術の活用意識が他の中高年に比べて高い様子が読み取れる。

 AI技術ごとの活用状況としては、「文章作成・翻訳」や「プログラミング、データ集計」は、「製造業」や「電気・ガス・熱供給・水道業」を中心に、社内外向けの資料作成や開発プログラム作成などに用いられており、作業効率の向上に寄与している。また、「情報収集、将来予測」や「ディープラーニングによる分析・判断」は、「金融業、保険業」や「不動産業、物品賃貸業」において、顧客の利用傾向分析や経済・需要動向予測に活用されており、正確な経営判断を行う上で役立てられている。
 前者は、ChatGPTなどを用いることで比較的手軽に活用することができ、効果も得られやすい性質を有しているのに対して、後者はより高い効果が得られる反面、プログラムの構築など専門的な知識を要することから、現状においては前者よりは使用度が低い状態となっている。

 現状のAI技術活用においては、「使用していない(使用が許可されていない)」が未だ7割を占めており、積極的に活用されているとはいえない。その要因としては、AI技術の効果的な使い方の洗い出しや、AI作業者に必要な技術的スキルやリテラシーなどが足りていないことが考えられる。
 AI技術の活用は、業務の効率化や省力化につながり、活用度を高めることで、企業における労働力不足の解消やコスト削減への寄与が期待されるため、企業においても積極的に推進したい分野である。他社に遅れを取り、競争力が損なわれる前に、高度なAI活用でなくとも、取り扱いが容易で、活用の汎用性が高い「文章作成・翻訳」や「情報収集」などから活用を開始し、社内のAI活用ノウハウを蓄積してみてはいかがだろうか。

【アンケート回答者の属性】

(人)

20代

30代

40代

50代

60代

合計

男性

100

100

100

100

100

500

女性

100

100

100

100

100

500

200

200

200

200

200

1,000

 

調査結果

[Q1] あなたの所属する部署において、使用している(使用が許可されている)AI技術について教えてください。

AI技術の使用(使用許可)状況を調査したところ、「使用していない(使用が許可されてない)」が全体の72.0%を占め、「使用している(利用が許可されている)」は30%に満たないことがわかった。

男女別の使用率としては、男女ともに「使用している」が30%を下回っており、使用状況に大差は見られなかったが、世代別では、30代以下の使用率が30%を超えているのに対して、40代以上では高齢になるにつれて使用率が低下する結果となっているなど、若い世代の方が積極的にAI技術を活用している様子が表れている。しかし、他方で、中高年層が多いと考えられる「管理職(課長以上)」においては、使用率(47.8%)が半数近くに達していることから、業務の効率化や省力化に向けたAI活用に高い意識を有している様子がうかがえる。

勤務先別では、ベンチャー企業(使用率52.4%)や大企業(同41.7%)において、AI技術が積極的に使われている。特にベンチャー企業においては、先進技術の活用が自社の成長や競争力に直結しやすくなるため、AI技術を積極活用しているものと考えられる。(図表A)

業種別では、「電気・ガス・熱供給・水道業」(同50.0%)や「金融業・保険業」(同44.8%)、「情報通信業」(同41.1%)において使用率が40%を超え積極活用されている一方で、「運輸業・郵便業」(同14.0%)や「公務」(同18.9%)、「卸売業・小売業」(同19.6%)においては、使用率が20%未満となっており、AI技術の業務への導入に慎重な姿勢がうかがえる。(図表B)

 

[Q2] あなた自身が行う業務において、使用しているAI技術について教えてください。

 AI技術使用者を対象に、その用途を調査したところ、「文章の添削、校正、要約、翻訳」(回答率46.8%)が最も多く、次いで「プログラミング、データ集計」(同38.9%)、「画像生成、画像・音声認識」(同26.4%)と続いた。
使用しているAI技術を業種ごとにみると、それぞれに傾向が異なっている様子がみてとれる。最も使用率が高い「文章の添削、校正、要約、翻訳」では、「製造業」(同61.4%)、「金融業、保険業」(同57.7%)における活用が目立っており、「プログラミング、データ集計」では、「電気・ガス・熱供給・水道業」(同55.6%)や「情報通信業」(同53.3%)、「運輸業・郵便業」(同50.0%)において、「画像生成、画像・音声認識」では、「不動産、物品賃貸業」(同57.1%)、「情報通信業」(同53.3%)、「建設業」(同41.7%)において積極活用されている様子が表れている。
中でも、「画像生成、画像・音声認識」における「不動産、物品賃貸業」や「情報通信業」、「情報収集、将来予測」における「金融業、保険業」(同65.4%)や「不動産、物品賃貸業」(同57.1%)では、他業種の使用率と比較して突出していることから、AI技術と当該業種の業務との間に深い親和性があることがうかがえる。(図表C)

 

[Q3] あなたが使用しているAI技術のうち、効果が高いと思う活用方法を教えてください。

 業務上でのAI技術使用者を対象に、AI技術導入が自身の業務に与える影響を調査したところ、「作業効率が向上している」と実感している人は65.7%であることが分かった。
AI技術の業務での活用方法として、ほとんどの活用方法で「作業効率が向上している」が7割以上となっており、最も回答率が低い「音楽・映像作成」においても半数を有していることから、AI技術の業務への活用は、作業効率の向上に有効であることが明らかといえる。
 また、[Q2]の結果を踏まえると、「文章の添削、校正、要約、翻訳」におけるAI技術の活用は、比較的活用しやすく、かつ作業効率においても効果が得られやすい特徴がうかがえるのに対して、「高度なディープラーニングによる分析・判断」や「将来予測」におけるAI技術の活用は、活用のハードルが高い反面、活用すれば作業効率への効果は高い特徴を有していることがうかがえる。(図表D)

 

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