第1回「新型コロナウイルス5類移行に伴う影響」調査 ~回答企業7割が景気回復を予想、求められる『コロナ以前』と『コロナ禍を経た』スタンダードの融合~

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リスクモンスター株式会社
データ工場

 2023年1月27日、政府は新型コロナウイルス感染症対策本部において、5月8日より新型コロナウイルスの感染法上の分類を5類感染症に位置付けることを決定した。これにより、今後は季節性インフルエンザと同等の扱いとなり、新型コロナウイルスによる事業活動や社会生活への影響が小さくなることが見込まれている。
 今回、リスクモンスターが独自に行った「新型コロナウイルス5類移行に伴う影響アンケート」調査(3月8日~15日実施)に対しては315社から回答が得られ、5類移行によって7割超が「景気が良くなる」と見込んでいることが明らかとなった。自社業績については、4割超の企業が「プラスの影響がある」(回答率44.4%)と回答しており、「マイナスの影響がある」(同4.1%)と大差がついたことから、全体として5類移行をポジティブに捉えている様子が表れている。

 また、5類移行によって変化が見込まれる点としては、事業活動では「対面営業の増加」や「現場作業がしやすくなる」といった点、労働環境では「懇親会や社内レクリエーションの増加」や「個人としての出費の増加」、「テレワークの減少」といった点がそれぞれ挙げられており、消極的であった対人接触が活発化していくことが見込まれる。
 しかし、その一方で、「採用のしやすさ」や「仕入れの安定性」、「残業時間」、「手当の金額」などの項目については、「変わらない」が圧倒的に多い結果となっており、5類移行後においても現状と同様の状態が続くと考えられる項目も少なからず存在していることが明らかとなった。

 2020年から3年超にわたり続いたコロナ禍における社会活動の制限が大幅に緩和されることにより、経済活動の前進や社会活動の活発化を見込む声が多い中で、項目によっては5類移行後も大きな変化を見込まないとする声も少なくない。それは、3年超にわたったコロナ禍において、感染の波が繰り返される都度対応を強いられてきた経緯から、5類移行後の変化について慎重に見守ろうとする意向が働いているだけでなく、コロナ禍において新たなスタンダードとなった活動に関しては、5類移行後もスタンダードとして維持することが望ましいと考えられているということであろう。

 企業としては、5月8日の5類移行後の社会の変化を見極めつつ、コロナ以前のスタンダードに回帰させる部分と、コロナ禍を経てスタンダード化したことを維持する部分とを取捨選択しながら、アフターコロナの新たなスタンダードを確立し、この3年超の試練を成長の糧としていくことが望まれよう。

 

[Q1] 新型コロナの5類移行による景気への影響は?

  新型コロナの5類移行によって、景気がどのように変化するか聞いたところ、「良くなると思う」(回答率70.5%)が7割を占めた。「変わらない」(同26.7%)の回答も4分の1程度あったものの、「悪くなると思う」の回答は2.9%に留まっており、大半が5類移行による景気の先行きに対してポジティブに捉えている結果となった。(図表A)
 業種別では、すべての業種において6割超が「景気が良くなると思う」と回答する中、建設業(同92.3%)においては9割超が景気の回復を見込んでおり、新型コロナの5類移行に対する期待の高さがうかがえる結果となった。(図表B)

 

 

[Q2] 新型コロナの5類移行による自社の業績への影響は?

 新型コロナの5類移行により、自社の業績にどのような影響があるか聞いたところ、「プラスの影響がある」(回答率44.4%)、「どちらとも言えない」(同51.4%)、「マイナスの影響がある」(同4.1%)となった。5類移行後の業績見通しについて「どちらとも言えない」が過半数を占める中、「プラスの影響がある」が「マイナスの影響がある」を40.3ポイント上回っており、自社の業績に対してポジティブな影響を見込んでいることが明らかとなった。(図表C)
 業種別では、すべての業種において「プラスの影響がある」が「マイナスの影響がある」を30ポイント以上、上回る結果となり、特に「建設業」(回答率53.8%)では「プラスの影響がある」の回答が過半数を占めた。他方、「製造業」、「小・卸売業」、「サービス業」においては、「どちらとも言えない」が過半数を占めており、ポジティブな影響を見込む声は多いものの、5類移行による社会生活の具体的な変化が不透明な現状においては、業績見通しについても慎重な見方をしている企業が多いと言える。(図表D)

 

 

[Q3] 新型コロナの5類移行による事業活動への影響は?

 新型コロナの5類移行により、自社の事業活動にどのような影響があるか聞いたところ、「対面での営業活動が増加する」(回答率74.8%)が最多となり、次いで「作業や工事など現場における活動がしやすくなる」(同58.8%)、「商品・サービスの需要が増加する」(同38.1%)と続いた。
 今後は、従来よりも人流が活発化し、対面や接触に対する抵抗感が薄れていくことで、訪問営業や対面による接客の増加、工事や軽作業などがしやすくなることを見込む回答が多くみられた。(図表E)
 業種別では、すべての業種において「対面での営業活動が増加する」と「現場における活動がしやすくなる」の回答が過半数を占める中、特に製造業においては「対面での営業活動が増加する」(同80.5%)が8割を超過しており、オンライン商談から訪問営業への回帰が見込まれている。
 また、「商品・サービスの需要」は、「変わらない」が最多回答となる業種が多い中、サービス業において「増加する」(同42.6%)が他業種に比べて多く、宿泊や飲食など、コロナ禍の影響を大きく受けた企業において、需要増加を見込む意見が多くみられた。
他方、「供給・調達の安定性」、「人材確保のしやすさ」、「資金調達のしやすさ」はすべての業種において「変わらない」の回答が6割超を占めており、5類移行による影響は限定的と考えている様子がうかがえる結果となった。(図表F)

 

 

[Q4] 新型コロナの5類移行による労働環境の変化は?

 新型コロナの5類移行により、自身の労働環境にどのような変化が見込まれるか聞いたところ、「懇親会や社内レクリエーションの頻度」(回答率71.7%)および「個人としての出費(飲食代、自己研鑽、雑費など)」(同59.0%)において、「増加する」が過半数を占める結果となった点や、「テレワークの頻度」において、「変わらない」(同58.4%)が過半数を占めながらも、「減少する」(同38.4%)も4割近い回答率となっている点については、5類移行の影響が生じやすい項目として表れている。他方、「残業時間」(同84.4%)や「自社から支給される給与以外の手当の金額」(91.4%)は、8割超が「変わらない」と回答しており、影響を受けにくい項目となった。(図表G)
 業種別においても、各業種全体と概ね同様の傾向が表れているが、中でも製造業においては、「懇親会や社内レクリエーションの頻度が増加する」や「個人としての出費(飲食代、自己研鑽、雑費など)が増加する」が、特に高い回答率となっている点や、「テレワークの頻度が減少する」(同50.6%)が過半数に達している点など、新型コロナの5類移行による影響が生じやすい様子が表れている。(図表H)

 

 

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