りすもん与信管理講座「決算書を読み解く①~決算書とは?」
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りすもん与信管理講座「決算書を読み解く①~決算書とは?」
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【1】決算書とは?
会社法における決算書類は、次の五つとされています。
① 貸借対照表
② 損益計算書
③ 株主資本等変動計算書
④ 個別注記表
⑤ 附属明細書
また、上場企業などには、キャッシュフロー計算書を財務諸表の一つとして
作成し、開示することが義務付けられています。
決算書とは、これら以外に法人税法の税務申告書、証券取引法対象会社にお
ける有価証券報告書などを総称した言葉です。しかし、一般的に決算書といっ
た場合は、貸借対照表と損益計算書、キャッシュフロー計算書を指します。
図1
図2
【2】 貸借対照表の仕組み
貸借対照表(Balance Sheet、以下B/S)には、企業の事業年度終了時点
での財政状態が記載されています(図1)。
ここでいう財政状態とは、企業の事業活動に必要な資金を、どこからいくら
調達したか、そして調達した資金をどうやって運用したかということです。調
達と運用は表裏一体であり、資金を調達すれば運用が生じるため、両者の合計
金額は当然一致します(図2)。
◆B/Sの右側はどのように資金を調達したかを示します
B/Sの右側は、資本(資金の調達方法)を表し、返済の必要がない純資産
(自己資本)と返済が必要な負債(他人資本)の二つに分かれます。
純資産は、自己資本と呼ばれ、原則として返済しなくてよい安定した資本の
額が示されます。したがって、純資産が多い企業は安定した経営を行うことが
可能であると言えます。
負債は、他人資本と呼ばれ、いずれ返済しなくてはならない資本のことをい
います。負債はさらに流動負債と固定負債の二つに分けられます。
流動負債は、1年以内に返済する必要のある短期の資金調達を示し、支払手
形や買掛金などの買掛債務、短期借入金や1年以内に返済すべき長期借入金や
社債、賞与引当金をはじめとする引当金などがあります。
固定負債は、返済まで1年超の期間がある資金調達を示し、長期借入金や社
債、退職給付引当金などが含まれます。したがって、返済期間の長さから、流
動負債に比べて固定負債の方が安定した資金と言えます。
◆B/Sの左側はどのように資金を使用したかを示す
一方、B/Sの左側は、資産(資金の運用方法)を表します。事業活動を行
うために調達した資金をどんな形で運用しているかが示されています。原材料
や商品を購入したのか、工場や機械設備、事務所となったのか、または現金や
売掛金になったのかなど、いわば企業の持ち物リストです。資産は、流動資産、
固定資産、繰延資産の三つに区分されます。
通常、流動資産は、現金・預金、受取手形、売掛金、棚卸資産(在庫)とい
った1年以内に現金化される資産が記載されます。資金繰りに使われる資産で
あり、少なくなると支払いが滞る危険性もあります。
固定資産は、1年超の長期にわたって保有する資産を示します。建物、機械
設備、土地などの有形固定資産、特許権や商標権およびソフトウエアなどの形
がない無形固定資産、そして投資有価証券や出資金などの投資等その他の資産
に区分されます。
繰延資産には、株式発行費や試験研究費など発生した費用が大きい場合、あ
るいはその効果が次期以降に及ぶものが計上されます。
【3】損益計算書の仕組み
損益計算書(Profit and Loss statement、以下P/L)には、該当会計
期間の営業成績、つまり事業活動の成果がまとめられています(図1)。
企業がいくらの事業収益を上げ、そのために必要な費用をいくら使い、その
結果いくらの利益を上げたのかを表します。企業の事業活動の成果としての利
益は五つの段階を経て計算されます(図2)。
まず、P/Lの一番上に記載されるのは、「売上高」です。これは企業が営業
活動を通じて販売した商品やサービスなどの総売上高、つまり、その企業の本
業での総収入を表します。
売上高からそれらを得るために必要とした原価、つまり売上原価を引いたも
のが「売上総利益(粗利益)」です。商品やサービスの商品力、顧客から見た
付加価値を示す、企業にとっての利益の源泉です。
売上総利益から運送費や広告費、人件費などの販売費および一般管理費を差
し引いたものが「営業利益」です。この営業利益が、その企業の本来の事業活
動によって上げられた利益を表します。
この営業利益に受取配当金や受取利息などの営業外収益を加え、借入などに
よって生じた支払利息や為替損益などの営業外費用を除くと、「経常利益」が
出てきます。一般的にこの利益が企業の実力を表します。
さらに経常利益から、通常の営業では発生しない臨時の損益、例えば不動産
の売却や天災などによって発生した特別損益を加減すると、「税引前当期(純)
利益」となります。
そして、税引前当期(純)利益から法人税などを差し引いて最終的に残る利
益が「当期(純)利益」です。この当期(純)利益がB/Sの純資産(自己資本)
に加算され、資金調達源となるわけです。