「債権保全の重要性(第2回)~担保・契約によるリスクヘッジ方法」
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「債権保全の重要性(第2回)~担保・契約によるリスクヘッジ方法」
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今月は、与信管理にとって重要な「債権保全」について、4回にわたってご説明しております。
前回は回収方法を工夫することでの与信リスクを減額する方法について解説しましたが、今回はいよいよ担保取得・契約締結その他の方法についてです。
危ない先からは、担保や保証を取るなど、債権保全に注力しなければなりません。倒産前に取引先を納得させて担保をうまく取れるかどうかは、後日の回収に非常に大きく影響してきます。
またリスクは直接減額できなくても管理方法を強化することでリスクをミニマイズすることもできます。最後にその方法についても触れたいと思います。
【その1】 担保取得の交渉をしよう
「なぜ担保が必要なのか」、「発生済みの債権を担保するのか」、「今後発生する債権も担保させるのか」、「どんな担保をもらうのか」など、取引条件などに絡めて上手に担保を取得できるかは、営業担当者の腕の見せどころです。
また取得する担保として適しているものと、そうでないものがあります。取得交渉の際は、次の点に留意しておく必要があります。①担保権が容易に換金でき、かつ時間や費用が掛からないもの、②価値が安定しているもの、③ほかの債権者と競合しないもの、④所在が明確なもの、⑤管理がしやすいもの、⑥相手に心理的圧力をかけられるもの、などの条件です。
現金や預金、有価証券、土地などがよいのですが、一般の事業会社が取れる機会は非常に少ないです。それらが取れなければ、売掛金や在庫商品、機械設備などを取得する見込みがあるかを考え、交渉しましょう。
【その2】 経営者の個人保証の交渉をしよう
なお、取引先が中小企業である場合は、経営者から個人保証を取っておくべきです。経営者によっては、会社を倒産させておいて、財産だけはしっかりと個人名義にして保全し、会社と個人は別だから個人としての支払義務はないと開き直る人もいます。
ただし、個人保証を入手してもその個人に資力・資産がなければ、その契約書は単なる紙切れとなってしまいます。必ず個人資産を裏付け調査を行い、もし社長に資産がなければ、資産のある家族やほかの役員から個人保証を入手して保全を図る必要があります。また親会社やグループ会社などの法人から保証を取ることもできます。
保証契約を締結できれば、保証人を通じて間接的に社長に対し経営の責任を持たせる効果も期待できます。
なお、保証人保護のため、貸金債務等を個人が根保証(金額や期間が特定されない債務への保証)する場合は極度額を定めなければ無効となる等の改正が、平成16年に行われましたが、今後予定されている民法改正により、その他の保証も個人根保証として対象となることが予定されています。
契約雛形を設定されている場合は、期間や金額を特定できるような書式に変更していくことも検討してください。
【その3】 基本契約を締結する
いざというときに債権回収活動をおこなうためには、債権保全・回収に有利になる条項が入った基本契約を締結しておく必要があります。
具体的には、①期限の利益喪失条項、②契約解除条項、③任意処分条項、④相殺予約条項、⑤遅延損害金請求条項、⑥所有権留保条項、⑦追加担保の設定条項、⑧合意管轄条項などが挙げられます。自社の契約雛形をチェックしてみてください。
基本契約を今さら結ぶことが難しい取引先の場合は、注文書や注文請書に上記の特約条項を記載し、相手先の印を取得しておく方法もあります。危ない取引先は、フォームが変更になったなどと言って、特約条項付きの書面を取得するようにします。
【その4】 情報収集の強化
相手先の経営内容が分からないから与信できないのであって、常に相手先のことが把握できる状態にしておけば、リスクは少なくなりますし、早めの対処がとれるようになります。
強い立場で応じることができる先については、決算書だけでなく、より詳しい内容が記載されている法人税申告書、勘定科目明細などを取得し、決算内容を精査できるようにします。また月次決算や資金繰り表を毎月提出してもらうことで、逐次相手先のことが分かるようになります。
このように相手先からの情報収集を強化することで、把握している経営内容が裏付けられ、与信が可能になるケースもありますので、資料の提出について相手先と交渉をするようにしましょう。しかし、「資料さえ提出すれば取引してもらえる」というように相手先に過度な期待を持たせないように注意することが肝要です。
【その5】 訪問頻度の増加
上記情報収集の強化と同様のことですが、相手先に訪問する回数を増やし、異変があればすぐに気付くことができる体制を構築しておくことも重要です。足しげく通って人間関係が築かれていれば、いろんな情報を獲得することができる効果もあります。
危ない先ほど取引先の経営者、担当者と面談して以前と違う点がないかを確認してくるようにしましょう。またいざという時に連絡が取れるよう、経営者個人の自宅・携帯電話の連絡先をつかんでおくこともトライしたいところです。
【その6】 利益率の向上
相手先の信用力が低い場合は、与信リスクを上乗せし販売価格を高めに設定して、利益率を高くしておく必要があります。このような考え方を「リスクプレミアム」といいます。
万一焦げ付いたとしてもそれまでに利益を稼いでおけるようにする訳です。高くしても販売できるかどうかの問題もありますが、信用リスクを考慮すれば妥当な考え方であると言えます。
以上、リスクヘッジの方法について説明をしてきました。実際には、1つの方法だけではなく、これらを組み合わせて対処していくこととなります。社員同士で知恵を出し合うことで、リスクを減らしていきましょう。
またこれら以外に保険会社や保証会社にリスクを移転してしまう保全手段もあります。それらについて次回以降で説明をいたします。
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