りすもん与信管理講座「倒産って、どうやって起こる? 『倒産のメカニズム その1』」

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       りすもん与信管理講座『倒産のメカニズム その1』      
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【1】「倒産」とは

「倒産」とは、厳密に定義された用語ではなく、一般的に「企業が資金繰りに
窮し、事業継続が困難になる状態」を指します。すなわち、企業が弁済期にあ
る債務を弁済することができなくなり、経済活動を継続できなくなった状態で
す。自ら振出した約束手形や小切手が不渡りになり、銀行取引停止処分になる
というのがその典型と言えます。
 その他にも、裁判所に対して破産手続開始や民事再生手続開始、会社更生手
続開始などの申立を行う法的整理や、債権者に対して自らの財政状態の悪化を
告げて、全面的にその処理を債権者などに委ねる私的整理といった事象も倒産
と定義されています。

【2】倒産のプロセスと危険信号

 倒産の直接要因は、企業の資金不足です。企業にとっての資金は人の体の血
液と同じで、資金の循環が止まった時に企業は倒産します。
 以下の図表は、倒産企業に共通するパターンを示したものです。企業は普通、
三つの段階を経て倒産までのプロセスを進むとされています。
これらのプロセスと危険信号の意味を理解することは、倒産を回避するために
極めて有効な手段だと言えます。

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◆要注意段階
 競争の激化、商品市況の大幅下落、商品価値の低下など販売不振によって売
上が減少すると、業績が悪化し、赤字となります。業績不振となった企業は、
苦境を乗り切るために経費や人員の削減、不動産売却などさまざまな「経営改
善努力(リストラクチャリング)」を行います。
 このリストラ努力によって業績を回復させる企業もありますが、経費や人員
の整理は一時的には利益を上げる効果があっても、中長期的には企業自体の力
を減退させることにもなり、経過を見守る必要があります。

◆要警戒段階
 リストラに失敗すると、さらに赤字が定着して累積する結果となります。企
業は対外的な信用をつなぎ止めるため、勘定の付替えなどで体裁よく見せる粉
飾決算に走るケースもあります。
 また赤字の累積はその額だけの資金不足を招き、取引銀行数を増やす、安売
りをするなどの行動へと企業を駆り立てます。また悪いうわさは仕入先へ伝播
していき、その信憑性が高まるほど警戒感が広がり、ますます信用を失ってい
きます。世間の評判やうわさなどは根拠のないものも多いことは事実ですが、
それが粉飾をつかむ端緒となることも、また事実です。

◆要緊急対応段階
 信用不安が発生するとさらなる業績悪化を招き、赤字はどんどん累積してい
きます。そして、資金繰りを直撃し、明日の支払ができるかが最大の関心事と
なり、企業は末期症状を迎えます。
 ここまで状況が悪化してもなお、手形ジャンプや支払遅延、給与遅配や税金
滞納、融通手形や高利資金導入などで「金融努力」を続ける企業もありますが、
長くは続かず支払不能状態に陥り、倒産に至ります。
 以上のように、経営が危機に直面すると、業績と資金繰りの状況を反映して
信用は大きく揺れ動くことになります。つまり、危ない企業が倒産するまでに
は、いろいろな兆候を必ず発見できるはずなのです。その兆候を見逃さないよ
うにする必要があります。

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