りすもん与信管理講座「新任担当者が押さえるべきツボ(第3回)~倒産の兆候を察知しよう」

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りすもん与信管理講座
 「新任担当者が押さえるべきツボ(第3回)~倒産の兆候を察知しよう」      
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4月より、新任の与信管理業務担当者に是非知っていただきたい与信管理のツボを
ご紹介しております。全3回シリーズの第3回目(最終回)の今回は、
「倒産の兆候を察知しよう」です。

今回も、リスクモンスターのe-ラーニング講座「実践!与信管理・債権回収のノウハウ」
の中から抜粋となります。

第3回 倒産の兆候を察知しよう

―経営悪化信号の捉え方―

計画的な倒産でない限り、取引先の経営の悪化、破綻が突然起きることはなく、
ほとんどの場合、事前にその兆候が現れます。問題はその兆候をキャッチ
できるかどうかです。

経営悪化の明確な変化は、まず登記面に現れます。不動産登記上では新たな担保権者が
出てきたり、賃借権や仮差押え登記が発覚したり、商業登記簿上では役員の変更などが
みられることがあります。

支払面では小口支払の遅れや支払条件の変更などが倒産の前触れです。

しかし、こうした兆候以外に経営悪化のシグナルをキャッチできるのは、毎日のように
相手の会社に出入りしている営業担当者です。

会社の強みの変化状況や経営者の状態など、悪化の兆候を把握するためのチェック
ポイントをリストとしてまとめると次のようになります。

1. 会社の強みとその変化の状況
商品力、技術力、営業力、資金力などその企業が同業者に比べ優れているところは何か、
そのレベルは落ちてきてはいないかをチェックします。何か一つ強みがなければ企業の
生き残りは難しいと考えられます。

2. 経営者の会社に対する認識度合
中小企業の命運の70~80%は経営者が握っています。その経営者が自社の強みと
弱みを自覚していないようでは先が危ぶまれます。

3. 経営者の理念、経営方針の浸透度
経営者一人では企業は動きません。末端従業員に至るまで経営者の理念、方針が
浸透していなければ組織は効率を発揮しません。

4. 経営者の経営に対する情熱度
経営者は会社の誰よりも仕事に情熱を持っていなければいけません。
質量ともに従業員を上回る仕事をしているのが経営者です。二代目、三代目となるにつれ、
情熱が薄らいでくる傾向があります。

5. 経営者の健康状態
経営者は体が元手です。病気がちでは経営も消極的になってしまいます。
健康な時に生命保険契約額も聞いておくことが重要です。

6. 経営者の交遊関係
「類は友を呼ぶ」といいますが、経営者が日頃仲良くしている友人を見れば、
その経営者のレベルがわかります。

7. 経営者の政治家指向
事業に成功した人が政治家に担ぎ上げられることはあっても、政治的野心のある人は
事業家には向きません。支持者としての域を越えた政治的活動は経営にとって百害はあって
一利も望めません。度を超して宗教にのめり込む経営者も問題があります。
なぜなら、政治も宗教も事業をないがしろにし、「敵」を作り、事業の幅を狭くして
しまうからです。

8. 経営者の趣味、スキャンダルの有無
趣味が高じて、肝心の経営がおろそかになるような経営者は問題外です。
金のかさむ美術品の収集や競馬、競輪、マージャンという賭事への熱中で事業資金を
つぎ込んでしまった経営者は数え切れません。
また、異性とのスキャンダルも大きなマイナス事項です。経営に注ぎ込むべき
エネルギーの無駄遣いであるとともに、家族を大切に出来ない経営者は従業員や
取引先を大事にすることもないからです。

9. 経営スタッフの成長度
経営者を支えるスタッフの存在は、企業の永続性のために重要なことです。
いつでもバトンタッチができるような人材を育成しているかどうかは、
重要なチェックポイントです。

10. 従業員の定着状況
従業員の定着状態の悪い会社に明るい未来はありません。何の教育指導もなく、
従業員を消耗品扱いする企業が、取引先を大事にするはずはありません。

11. 従業員のモラル
従業員の不祥事の多い会社や、始終会社の悪口を言ったり手を抜いた仕事をする
従業員がいる会社は、経営に大きな問題が内在していると見なければなりません。

12. 支店、営業所の状況
出先拠点の動向には常に注意を払っておかなければなりません。採算割れしている
出先拠点は真っ先にリストラの対象になるので、出先責任者の異動(昇格か降格か)
を見れば、その事業所の業績がうかがわれます。

―支払い悪化の現れ方―

1.振込みの場合

振込みにより支払いを受ける取引先の支払い悪化に対しては、とくに状況をよく見る
必要があります。なぜなら、振込みは集金を行う営業担当者が介在せず、受身の形
だからです。振込入金は、女性事務員などが「頭金」から「売掛金」に振替を起こす
ことで処理が終わってしまうことが多いので、入金がズレた場合には、必ず上司に
報告します。

振込みによる支払い悪化が起きるのは、まず取引先が無断で振込みを遅らせるケースです。
振込みを受けるほうがウッカリしていると、それが何ヵ月も繰り返されて固定化し、
修復がむずかしくなります。たとえ延長は比較的小幅でも、受取側からの指摘がないと、
取引先は甘く見てさらに支払いを延ばす危険性があります。

また、取引先からハッキリと「今月から1ヵ月延ばす」と通告してくるケースもあります。
この場合は、取引先は他の仕入先に対しても同様な通告・依頼を行っている事例が多く、
かなりの資金ショートを来したと考えるべきです。

大幅な振込延長には、営業担当者のみならず上司とも取引先に出向き、事情を
よく探るとともに、何らかの保全策を講じることも考えなくてはなりません。

2.小切手の場合

小切手は、振出日以降10日の間(呈示期間)に、銀行に呈示すれば決済を受けられる
証券です。しかし、振出日を未だ到来していない先の日付とさせ、本来の使い方から
逸脱して手形の機能をさせるものがあります。

前者を当日小切手、後者を先(日)付小切手と俗称して使い分けています。
当日小切手は、所定の集金日に受け取るので、支払いの遅れはその日に小切手を
もらえないことを意味します。

「また来てくれ」、「五日後に払う」などいわれたら、営業担当者は「それは困ります。
どうしてですか?」と食い下がり、その会話を通して事情をキャッチしなければ
なりません。理由も明らかでなく、翌月も遅延するようであれば、資金状況は
一変したと判断します。

従来は当日小切手であったものが、先付小切手に変わった場合もはぼ同様です。
いったん先付小切手を振り出すようになると、再び当日小切手に戻ることはありません。
一般に先付小切手を振り出すのは、経営者がすべてを取り仕切っている小規模な企業が多く、
経営者が安易に先付小切手を振り出し、それに合わせて自身の回収をおろそかにする
といった悪循環になりがちです。先付小切手は10日ぐらいの先日付が普通であり、
1ヵ月もの先付小切手になった場合は、資金繰りを放棄したものと推定されます。

なお、先付小切手が月末をまたいで翌月の日付になった場合は、月末の他への支払いを
優先させたと考えられます。

3.手形の場合

手形によって支払いを受ける取引は、だいたいが大口取引です。そのため、手形の決済期日
が延長されるということは、取引先の資金悪化=信用不安という問題だけでなく、
自社の資金繰りにも影響を与える重要なことのため、十分に目を光らせなければなりません。
受取手形を割り引いている企業にあっては、割引料の負担増にもなります。

手形は、例えば2月末締めの請求に対し、4月末日を期日とするものは60日サイト、
5月末日を期日とするものは90日サイトとなります。この60日というのは、2月末日から
起算するものであり、事務の都合によって左右される振出日とは異なります。

また手形期日の延長以外にも、今までの一葉の手形であったものが二葉になるケースがあります。
タイトになった資金の山を崩すために行われますが、必ず二葉目は一葉目より期日が後になるので
実質的な支払い悪化です。

同様な意味で、複数の手形による支払いの場合に、決済期日が後にくるほうの手形の金額の
比率を従来より大きくすることがありますが、それぞれの手形の決済期日は変わらないので、
ウッカリすると見逃すことになります。

そこで、多数の手形を受け取る取引には、加重平均を行って正味の手形サイトが算出できる
管理表をつくっておくとよいでしょう。加重平均して遅延している場合は、正しいサイトで
発行するように再度依頼することが重要です。


[設問]  代金回収で多数の手形を受け取る取引には、手形の〔   〕を行って正味の
     手形サイトが算出できる管理表をつくっておくとよいでしょう。

 
     A. 総平均
     B. 加重平均
     C. 可変平均
     D. 段階平均


 (設問の解答は、「実践!与信管理・債権回収のノウハウ」をご利用いただき、
  ご確認お願いいたします。)

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