与信管理講座「与信管理・債権回収の入門講座」(第3回)

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    与信管理講座「与信管理・債権回収の入門講座」 第3回     
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全5回にわたり、リスクモンスターのe-ランニング・コンテンツ
「サイバックスUniv.」にて、与信管理の研修ツールとして好評いただいて
おります「与信管理・債権回収の入門講座」の中から、代表的なテーマをご紹介
しております。

今回は、「第3回 社内ルールを知ろう」です。

最後に、テーマに関する設問を掲載しておりますので、是非ともチャレンジいただき
ますよう、お願いいたします。


第3回 社内ルールを知ろう


―与信限度とはなんでしょう?―

取引先に少しでも多くの商品を販売して利益を上げたいと考えるのは、営業担当者
として自然なことですが、利益を上げるには売掛金を全額回収しなくてはなりません。
どんなに優良な取引先でも支払能力には限界があるので、やみくもに商品を販売する
わけにはいきません。もしその取引先が倒産したら、多大な事故債権が発生し、
企業として大きな損害となってしまいます。

そのため、取引先に対してどのくらいの金額まで売り込みが認められるかを、
あらかじめ与信限度として定めておくことが必要です。

与信限度制度とは、取引先ごとに与信の最高額である与信限度を設定する管理手法
をいいます。取引先ごとの債権の残高が、月中、月末のどの時点をとってもその金額を
超えてはならないと規定することで、取引先の倒産によってこれ以上損失が発生しない
という効果や、想定外の不良債権の発生を阻止する効果があります。営業担当者は、
売買契約や荷渡しの状況はもちろん、債権残高の推移にも常に留意しながら、
与信限度を超過しないように管理していきます。

取引先に対して、どのくらいの与信限度が妥当であるか、安全であるかを判断するのは、
実際にはたいへん難しいことです。しかし、困難でも実務で管理していくためには、
与信限度を決めていかざるを得ない現実があるのです。


―与信限度を算出しよう―

与信限度の設定は、安全かつ適正で、必要な範囲内という原則を守らなければなりません。

1.安全な与信限度の設定
 
まず、安全な範囲として、自社の財務体力と、取引先に対する取引シェアを考慮した
上限を設定します。

(1) 財務体力の勘案
取引先の倒産によって致命的な被害に遭わないためにも、自社の財務体力を測って、
格付けごとに安全な与信の上限目安を設定することが重要です。この上限は、
自社の自己資本の大きさなどから算出されます。

    【財務体力に基づく格付けごとの与信限度の例】

  格付 / 1社ごとの与信限度額 / 自社自己資本との比較
   A       100百万円           10%
   B       50百万円            5%
   C       20百万円            2%
   D       10百万円            1%
   E       5百万円             0.5%
   F       0                  0%

(2) 取引シェアの勘案
取引先が行う全取引の中で、自社との取引シェアが高くなると、必然的に取引先から
自社への支払の割合が大きくなります。その結果、取引先に資金不足などの問題が
生じた場合に、支払延期や手形ジャンプを要請される可能性が高くなります。
断ると取引先の倒産に繋がってしまうために応じざるを得ず、その取引から抜け出す
ことができなくなり、危険な与信債権はどんどん膨らんでいってしまいます。

また、不安情報を事前につかんでも同じ理由で取引を中止できず、せっかくの
情報収集も意味がなくなってしまいます。そのため、与信管理面からは、信用力の
悪い取引先のシェアを大きく取ることは望ましいことではないといえます。

取引先のB/S上の仕入債務残(買掛金と支払手形の合計)に、格付けごとに設定した
比率を掛けて算出される数値を、その取引先に与えることができる最大の与信額
(与信限度)とします(ただし、裏書譲渡手形のある場合はそれも含めます)。

   【 取引シェアに基づく格付けごとの与信限度の例】

      格付  /  格付けごとの与信限度額
       A     取引先の仕入債務の 30%
       B     取引先の仕入債務の 20%
       C      取引先の仕入債務の 15%
       D     取引先の仕入債務の 10%
       E      取引先の仕入債務の 6%
       F     取引先の仕入債務の 0%

2.適正で必要な与信限度の算出

次に、与信限度は適正で必要な範囲内という原則を守らなければなりません。
そのためには以下の事項を考慮に入れます。

(1)「月間販売数量×単価×回収期間(月数)」

月間販売数量に単価を掛けて月間販売額を算出し、それに回収期間(回収サイト)
を掛けることで平均の売掛債権残高を算出します。それが必要な与信限度となります。
ただし、季節によるばらつきを考えて、今後の債権残の推移を予想し、
多少余裕をみて設定するとよいでしょう。

回収サイトは、受取手形のサイトだけではなく、売掛期間も考慮に入れる必要が
あります。厳密に言うと次のようになります。

   与信限度 =   (月間売上見込み額×売掛期間月数)
               +(月間売上見込み額×手形等による回収割合※ × 手形期間月数)

※「手形等による回収割合」とは、その売掛債権が現金や手形など(期日指定支払
・一括支払を含む)により回収される場合において、その回収額のうち手形などに
より回収する割合のことをいう。

通常、取引先ごとの債権残高は月末時点で集計されるので、債権残高が与信限度内に
収まっているかどうかのチェックは月末残高で行われることが多いです。しかし、
月末残高が常に最高残高であるとは限りません。与信限度を決めるには、
月末残高ではなく、債権残高がピークに達する時点の残高を予測して設定する
必要があります。

また、実際に必要な与信限度とかけ離れた与信限度を設定していると、取引額が
当初の予定を超えて通常の2倍、3倍と膨らんでも管理部門では「与信限度超過案件」
のアラームを検知できない可能性があります。与信額が増加している原因は、
ほかの取引先が撤退し始めているから、という可能性もあるため、注意しておく
必要があります。従って、現実的な取引金額の範囲で与信限度を設定することは
非常に重要なことといえます。

(2) 回収サイトが業界標準、商流から適正といえるか

(1)で与信限度額を設定する際、回収サイトが業界内の慣習的な決済条件と
比較して適正かどうかをチェックします。回収サイトは、自社が納品した後、
取引先が在庫期間を経て販売し、販売先から現金を回収するまでの標準的な期間を
計算して設定することが求められます。それよりも長く設定していると、
他社との取引にその資金が流用されてしまう危険性もあります。

業界の標準的なサイトはそのような期間を考えて形成されてきたものですが、
何も考えずに慣習に従うのではなく、個別の取引に適当な期間を設定するべきです。

 

[設問] 必要な与信限度は、月間販売数量に単価を掛けて月間販売額を算出し、
    それに〔   〕を掛けることで平均の売掛債権残高を算出します。

 
   A. 債務残
   B. 債権残
   C. 与信期限
   D. 回収期間
 

 (設問の解答は、「与信管理・債権回収の入門講座」をご利用いただき、
  ご確認お願いいたします。)


次回は、「第4回 取引継続先の管理をしよう」です。


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