与信管理講座「倒産事例から見る財務指標の傾向」(第6回)
- TOP
- 与信管理コラム・メールマガジン
- 与信管理講座「倒産事例から見る財務指標の傾向」(第6回)
リスクモンスター株式会社 メルマガ事務局
■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
<CONTENTS>
■与信管理講座「倒産事例から見る財務指標の傾向」(第6回)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆◆関連部署等にもご回覧頂き、基礎知識の習得にお役立て下さい。◆◆
◇◇バックナンバーは、画面左の「メルマガ」からご覧頂けます。◇◇
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
~与信管理講座「倒産事例から見る財務指標の傾向」~
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
与信管理上注目すべき財務指標を、倒産企業の分析データから解説しております。
第6回 「現預金回転期間」
1.「現預金回転期間」とは?
現預金回転期間は、営業上の支払いのための準備資金が何ヵ月分あるかを示す指標で、
企業の安全性を分析する際に用いられます。具体的には1ヶ月以上であることを一つの
基準とし、高ければ高いほど倒産危険度が低く優良であるとされます。
しかし、現預金月商比率が必要以上に高いと会社の資金繰り的には安定しますが、
会社の資金効率が下がります。
現預金回転期間には拘束性預金も含まれている場合があるため、注意して判断する必要があります。
現預金回転期間はつぎの算式によって求めることができます。
現預金回転期間(%)=現預金回転期間(ヵ月)=現預金/月商
2. 倒産事例分析
次に、最近の倒産事例より、倒産時における自己資本比率の推移を見ていきます。
伊南電器株式会社
(電気音響機械器具製造業、2012年1月31日事業停止、負債総額22億円)
①会社概要、倒産経緯
・1969年設立のワイヤハーネス製造業者。自動車向けを中心に幅広い商品を扱っていた。
・リーマンショック以降急激に需要が落ち込んだことから、2009/5期においては大幅減収に
伴って赤字転落しており、資金繰りが多忙な状態となっていた。その後、売上面は回復するも、
利益面では低調が続き、資金繰りは改善せず、事業停止となった。
②現預金回転期間の推移
決算期 2011/5 2010/5 2009/5
売上高(千円) 3,055,873 2,815,463 2,230,117
現預金回転期間(ヵ月) 0.2 0.3 0.3
自己資本比率(%) 7.9 7.9 8.7
・以前より自己資本比率が低く、さらに多額の雑勘定計上により実質的な債務超過と考えられる
状態が続いていた。売掛債権回転期間は、3~4ヶ月と業界平均の2.4ヶ月を超過しており、債務
の支払が先行する状態で、手持ちの現預金が少なく、財務体力も乏しいため借入に依存した
資金繰りが続いていたものと考えられる。
3.ポイント
リスクモンスターでは、現預金回転期間の倒産確率を集計し、会員サイト上の「アナリスト
モンスター」にて公開しています。全体で見ると、現預金残高が月商の50%程度になると
倒産確率が高くなり、F格の倒産確率に近づくことが分かります。また、業種別では、農林
漁業・鉱業、総合工事業、物品賃貸業などは現預金回転期間1ヵ月超であっても倒産確率
が高くなることが分かります。自社の審査基準の見直しに是非参考にして下さい。
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
【著者】リスクモンスター データ工場
会社の格付データの更新を中心業務として行うことに加え、与信管理サービスの
企画・開発や、会員企業の与信管理支援コンサルティングサービスの提供まで
担当する、いわばリスクモンスターの“心臓部”。
分かりやすく精度の高い情報を、お客様により早くご提供することをモットーにしている。
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【編集発行】
リスクモンスター株式会社
カスタマーセンター メルマガ事務局
東京都千代田区大手町2-2-1 新大手町ビル1F
URL:http://www.riskmonster.co.jp/
《本メルマガに関するお問合せ先》
TEL:03-6214-0350 Mail:seminar@riskmonster.co.jp
《電子メールでお問い合わせを頂く場合、会社名・お名前をお書き
添え下さいますようお願い致します》
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━