与信管理講座「倒産事例から見る財務指標の傾向」(第2回)
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リスクモンスター株式会社 メルマガ事務局
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<CONTENTS>
■与信管理講座「倒産事例から見る財務指標の傾向」(第2回)
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~与信管理講座「倒産事例から見る財務指標の傾向」~
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与信管理上注目すべき財務指標を、倒産企業の分析データから解説しております。
第2回 「棚卸資産回転期間」
1.「棚卸資産回転期間」とは?
棚卸資産とは、直接販売したり、または加工したうえで販売することを目的として保有する
資産をいい、一般的に「在庫」と呼ばれるものです。棚卸資産は商品、製品、半製品、原材料、
仕掛品および未成工事支出金、貯蔵品等に区分されます。
経営のしっかりした会社は、堅実で的確な今後の業界動向の見通し、市況判断のもとで、
商品開発、販売・仕入・生産計画などを厳しく管理し遂行します。従って余剰在庫も少なく、
残った在庫の処分もしっかりと行うため、棚卸資産の金額は常に引き締まっており、
かつ内容も健全です。
一方、経営管理の甘い会社は原材料・製品とも余剰が多く発生し、棚卸資産の金額が
肥大化していくため、資金負担が増大するとともに、やがてそれらが不良化し、結果的に
赤字に繋がっていきます。
棚卸資産を月商で割ることで、棚卸資産がどれだけ回転しているかを測る指標が、
棚卸資産回転期間です。棚卸資産回転期間はつぎの算式によって求めることができます。
棚卸資産回転期間
=棚卸資産(商品+製品+半製品+原材料+仕掛品+未成工事支出金)÷平均月商(売上高÷12)
2. 倒産事例分析
次に、最近の倒産事例より、棚卸債権回転期間の推移を見ていきます。
1.株式会社ジュエリーフォンド
(ジュエリー製品小売業、2011年4月25日民事再生法適用申請、負債総額28億円)
①会社概要、倒産経緯
・1981年創業の貴金属・宝飾品等の販売会社。
・直営販売のほか、百貨店等での催事販売も開催。
ピーク時の2001/8期には116億円の売上を計上。
・個人消費の冷え込みに加え、海外有名ブランドとの競争激化やリーマンショック後
のさらなる消費低迷の影響を受け、販売不振状態にあった中で、店舗閉鎖やリストラ等
を進めるも、業況回復には至らず民事再生申立となった。
②売掛債権回転期間の推移
決算期 2007/8 2008/8 2009/8
売上高(千円) 7,033,336 4,595,212 3,890,185
棚卸資産回転期間(ヶ月) 5.2 6.2 6.8
・業種柄、高額な在庫を多数保持する必要があることから、棚卸資産水準高く、在庫資金を
借入で賄わざるをえない状態で、棚卸資産と同等の借入を余儀なくされていた。
・09年には半年分の売上に匹敵する在庫を抱えており、販売不振で不良在庫が発生、
新規在庫資金による資金繰りの悪化が破綻の大きな原因となったと考えられる。
3.ポイント
在庫水準は各業界により異なるため、棚卸資産回転期間は業界の平均数値と比較し、
その期間の長短を分析します。業界平均などに比べて、棚卸資産回転期間が長い場合、
次のような理由が考えられます。
①架空在庫や水増し在庫の存在(粉飾)
②過剰在庫の存在
③デッドストック(不良在庫)の存在
④その他
リスクモンスターでは、棚卸資産回転期間の推移に着目し、前年度との増減幅を比較し、
倒産確率を集計しております。これを見ると、やはり棚卸資産債権期間が大きいほど、
倒産確率は高くなる傾向が出ております。
売掛債権回転期間と同様、棚卸資産回転期間が異常に長い場合は、個々のケースごとに
調査を行い、その原因を把握することが必要です。
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【著者】リスクモンスター データ工場
会社の格付データの更新を中心業務として行うことに加え、与信管理サービスの
企画・開発や、会員企業の与信管理支援コンサルティングサービスの提供まで
担当する、いわばリスクモンスターの“心臓部”。
分かりやすく精度の高い情報を、お客様により早くご提供することをモットーにしている。
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