与信管理講座「ケースに学ぶ営業担当者の債権管理」(第5回)
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リスクモンスター株式会社 メルマガ事務局
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<CONTENTS>
■与信管理講座「ケースに学ぶ営業担当者の債権管理」(第5回)
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~与信管理講座「ケースに学ぶ営業担当者の債権管理」~
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詳細な事例に基づくケーススタディ形式にて、
取引の過程で営業担当者が注意すべき与信管理上のポイントを解説しております。
第5回 「法的倒産手続を利用した企業買収」
1. 取引形態・ルート
今回のケーススタディに登場する各社間の関係・取引形態を図で表しております。
2. 取引経過
①H社は海外投資の負担、為替差損の影響で業績が悪化していたが、国内のアルミ
ダイカスト業は採算がとれており、また客先は大手メーカーが多く、磨けば光る会社で
あると経営コンサルタントをしていた大手監査法人からリスモン商事へ企業買収を
念頭においた支援の要請が2010年2月頃あった。当時、営業部は物流だけでなく、
製造部門、とりわけ海外の製造拠点を求めており、アジアで有力な生産を誇るH社の
フィリピン工場に魅力を感じていた。
②取引を開始し、関係作りを模索したが、年商を超える借入金があるH社に与信が
出せるはずはなく、営業部としてはH社とH社の顧客である大手メーカーの間に
介入し金融をつけること、またフィリピン工場てこ入れのために機械装置を無償貸与
する相談が管理部にあった。H社社長M氏の個人調書を取ったところ、筋の悪い人物
との関係があり、管理部としては与信の問題だけでなく、メーカーへの供給責任の問題
もあるため、止めたほうがいいとのアドバイスを行ったが、営業部の営業戦略もあり、
代替メーカーを予め選定したあとで取引が開始された。
3.対応策とその後の顛末
①これまで取引がなかったような大手メーカーとの取引が開始され、当初は順調な
ように思われたものの、為替の大きな変動とフィリピン工場で生産された製品の
クレームで、H社の資金は直に回らなくなった。リスモン商事はH社からの製品納入後、
すぐに現金を支払うなどして協力し、2010年4~6月はなんとか凌いだものの、7月末には
手形不渡りを出さざるをえない状況となった。
②しかし、営業戦略上の観点から、営業部はH社を買収したいという意向であった。
相談を受けた管理部としては、今であればH社に対する債権はなく、新たにエクスポージャー
を増やす必要はないと買収に反対であった。たとえ、買収するにしても年商を超える負債を
引き継ぐ訳にはいかないので、民事再生手続を申立て、裁判手続きの中で負債をカットさせ、
そこにリスモン商事がスポンサーになることで企業買収を行う方法があると提案した。
③様々検討した結果、民事再生手続きの中で買収する方向に決まり、早速裁判所への
申立資料、F/S作りに入った。M社長も当初は会社再建のためには、民事再生手続
申立はやむなしという協力体制で進んでいった。だが、いよいよ申立という時にM社長は
猛反対し、「リスモン商事の計画的な乗っ取りだ。」と周囲に言いふらしだした。
リスモン商事は検討の結果、民事再生手続申立をあきらめることとなった。H社は7月末に
手形不渡りを出し、事実上倒産した。
④ところが、H社の取引先に自動車部品メーカーが含まれており、その工場のラインをとめる
ことになると多大な損害賠償が発生することが判明した。また、アルミダイカストを製造する
金型はメーカーの所有物であることが判明し、メーカーからリスモン商事に対して返還を
求められた。債権はなかったはずなのに…。急遽、従業員・株主による民事再生手続申立
を検討し、夜を徹した作業で裁判所に申立を行った。
⑤製造業経験のないリスモン商事にとって製造業経営は難しく、また為替変動や大口顧客
の撤退などもあり、赤字資金を流失させた。外部から経営者をヘッドハンティングするなど
して、なんとか黒字化の目処が立ったが、結局、開始決定から再生計画を作成するまで
2年を要してしまった。
4. ポイント
①供給責任の重さを再認識すること!
どんなに契約書でヘッジしてもユーザーから求められるものは、安定供給です。
供給責任の重さを再認識する必要があります。
②法的倒産手続きを利用した企業買収
経営が立ち行かなくなった企業を買収する場合には、その企業の負債のカット、簿外債務
の顕在化、経営陣の退陣、従業員の削減等効率的なリストラを行うために民事再生や会社
更生といった法的倒産手続きを利用して企業買収を行うことがあります。
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【著者】リスクモンスター データ工場
会社の格付データの更新を中心業務として行うことに加え、与信管理サービスの
企画・開発や、会員企業の与信管理支援コンサルティングサービスの提供まで
担当する、いわばリスクモンスターの“心臓部”。
分かりやすく精度の高い情報を、お客様により早くご提供することをモットーにしている。
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