適切な会社格付を設定するために必要な要素とは?【会社格付制度】
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りすもん与信管理講座 ~適切な会社格付を設定するために必要な要素とは?~
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会社の信用力について高低を評価することは、簡単なようで非常に難しいものです。
あの会社は収益力が高いが財務面は少し弱い、この会社は収益力が低調推移しているが
財務は良好…といったように、どちらの会社の信用力が高いのか判断できない、
仲の良い会社や、昔からつきあいのある会社は「色眼鏡」で見てしまいがち…という
悩みは与信管理につきものです。
そこで12月は4回にわたり、「会社格付制度」に焦点をあて、格付制度を
用いて与信管理業務を強化するポイントをお話しします!第3回は、会社格付を
構成する要素について解説します。
① 定量評価
定量評価を行う上では、財務内容を指標化する方法が一般的です。与信管理面で
重要な指標を抽出し、指標の高低に応じて、定量評価モデルを作成します。
このようなモデルを活用するには、取引先における決算書上の表面的な数値を投入する
のではなく、不良債権や含み損益を加味して修正した財務実態の数値を投入することが
重要です。使用する指標としては次のようなものがあります。
・規模分析──売上高、純資産(自己資本)額
・安全性分析─自己資本比率、借入月商比、流動比率、経常収支比率
・収益性分析─総資本経常利益率、売上高経常利益率、増収率
・回転率分析─総資本回転数、売上債権回転期間、棚卸資産回転期間
ただし、取引先からの決算書の入手が困難なことが多い場合は、信用調査会社の
企業概要データなどで手に入る以下のような範囲でモデルを構築せざるを得ません。
・規模分析──売上高、純利益額、従業員数
・安全性分析─資本金
・収益性分析─売上高純利益率、増収率、増益率
決算書が入手できる場合も同様ですが、最終的な格付の精度を上げていくに当たっては、
取引先から直接得られた現場からの情報や、定性要因による調整を行うことが必要です。
② 定性評価による調整
定量評価のみでは、取引先の信用力を的確に把握できないことがあるため、計数で
測れない定性評価によって格付をアップダウンする方法を取ります。定性評価では、
まず親会社の評価が重要視です。親会社の信用力(格付)、役員派遣等の状況、
取引関係などから判断して、継続的な支援が期待でき、取引先の信用力の背景として
評価できる場合は、格付を1〜2ランクアップさせるといったことが考えられます。
次に取引先の業界評価を行い、取引先の業界順位や参入障壁などから勘案して、
安定的な経営が見込める場合はプラス評価ができます。しかし、逆に信用不安情報が
流れている、または定性情報の変遷に不審な点が見られる場合は、評価を下げておく
必要があります。
・ヒトの面─経営者の能力・資産背景、親会社の支援動向
・モノの面─業界順位、業界特性
・カネの面─取引金融機関
・その他──信用不安情報の有無
ここで注意すべき点は、長年の付き合いで取引関係が深いということや、他社と
取引するよりも利益率が高いということ、担保が取得できていることなどをもって
格付を引き上げる要因としてはならないということです。
取引の判断をする場合には、取引先の格付だけでなく、取引先から情報が直接
取れるのかどうかという管理面や、利益がどれぐらい確保できるのかという利益率、
取得担保の価値を算定し、正味のリスクがどれぐらいかなどを考慮に入れた上で
行うこととなります。したがって、それらは、取引先自体の信用力の問題とは
切り離して考えていく必要があるのです。
③ 外部評価の勘案
定量評価と定性評価によって導き出した格付に加え、さらに格付機関などの
外部評価を比較検討して検証している企業も数多くあります。また、取引先から
財務諸表を取得できないケースが多い企業は、取引先の信用力分析には非常に
困難を伴います。そこで、信用力の評価をアウトソーシングし、社内格付とする
活用事例が増えています。
アウトソーシングにより、外部から新たな尺度を取り入れることで、リスク
リターンの把握、すなわち自社の財務体力や与信管理ルールと、自社が抱える
与信リスクを比較するための基準を得ることができ、与信管理の強化を図ることが
できます。また汎用性に優れ、簡便で、属人的でない指標を1次スクリーンとして
導入することで、リスクの小さい取引先に関する意思決定や事後管理を簡略化でき、
与信管理の効率化が実現できます。
次回は、第1回~第3回の内容を踏まえ、リスクモンスターの格付とその利用事例を
ご紹介します!ご期待ください!