2022年末頃から、対話型AIのChatGPT(以下、ChatGPT)が注目を浴び始め、自治体や大手企業でChatGPTの業務活用が進む中、ビジネスパーソンを対象にリスクモンスターが独自にChatGPTの使用状況の実態調査(2023年5月23日~5月25日実施)を行ったところ、1,000人から回答が得られた。
今回の調査によって、ビジネスパーソンの3人に2人は「ChatGPTを知っている」ことが明らかとなったが、実際にChatGPTを使用している人は15%程度に留まった。
ChatGPTの使用が進んでいる層としては、「男性」、「30代・40代」、「ベンチャー企業・大企業勤務者」、「管理職」であることがわかり、新しいツールに敏感なベンチャー企業勤務者、仕事量が多く業務効率化ニーズの高い30代・40代の管理職において、ChatGPTを積極的に使用している様子がうかがえた。一方で、「女性」、「20代」、「中小企業勤務者」、「一般社員」の層においては、ChatGPTの認知度が低い傾向がみられた。
ChatGPTの使用シーンは、業務上での作業効率化や品質やサービスの向上を目的としたものから、個人がプライベートで手軽に使用するものまで様々である。
ChatGPTが用いられる機会としては、「文章生成、添削、校正、要約」、「情報収集」、「アイデア出し」の場面で多く用いられている様子があるが、「うまく活用できている」という回答が多い用途としては、「顧客からの問合せ対応」や「システム構築・プログラミング」、「Webサイトの制作」が挙げられ、これらの業務においては、ChatGPTの利便性を高く感じられているものと考えられる。
現状において、ChatGPTの利用者は、新しいツールに敏感な層や、業務での推進力を得たい層が中心であり、その利用が広く普及しているとは言えないが、既に業務上でChatGPTを使用している人の半数以上は、作業効率の向上を感じており、何らかの形でChatGPTを使用した経験がある人の約9割が、今後もChatGPTの使用を継続したいと考えていることから、ChatGPTが業務や作業の効率化に寄与するツールであることは明らかと言えよう。
とはいえ、現時点では、ChatGPTをはじめとしたAIツールは、全てにおいて万能という訳ではない。活用に当たっては、それらのAIツールの得意分野を把握し、どのような業務や作業に、どのような方法で用いるのかを考えることが重要となる。企業としては、今後の労働力確保の課題に対して、有効な解決策の一つとなり得ることから、積極的な取り組みが求められよう。
(人) |
20代 |
30代 |
40代 |
50代 |
60代 |
合計 |
男性 |
100 |
100 |
100 |
100 |
100 |
500 |
女性 |
100 |
100 |
100 |
100 |
100 |
500 |
計 |
200 |
200 |
200 |
200 |
200 |
1,000 |
[Q1] Chat GPTの使用状況を教えてください。
Chat GPTの認知度を調査したところ、ビジネスパーソンを対象とした本調査において、Chat GPTの認知度は65.5%となり、3人に2人は「Chat GPTを知っている」ことが明らかとなったが、使用状況としては、「使用している(以下、使用中)」(回答率14.9%)は全体の15%未満に留まり、「今は未使用だが、今後は使用予定(以下、使用予定)」(同15.9%)を含めても30%に満たない水準となった。また、Chat GPT認知者における「使用中」の割合(22.7%)としても、2割程度と低水準であることがわかった。(図表A)
男女別における「使用中」の割合は、「男性」(同17.8%)の方が「女性」(同12.0%)よりも5.8ポイントGPTを知らない」は、「女性」(同41.4%)の方が「男性」(同27.6%)よりも13.8ポイント高いことから、男性の方がChat GPTの認知や使用が進んでいる様子が表れている。
世代別にみると、30代以上のChat GPTの認知度が約70%であるのに対して、20代の認知度(同55.5%)は低く、30代以上においても、「30代」と「40代」では「使用中」が高いのに対して、「50代」、「60代」では「使用予定」が高い結果となった。30代、40代は新しいツールを使用する感度が他の世代に比べて高く、50代、60代は後輩世代の使用状況をみてから、自身の使用を考えている様子がうかがえる。
勤務先別では、ベンチャー企業や大企業において、積極的な使用がうかがえ、特にベンチャー企業では、「使用中」(同33.3%)割合が最も高く、「使用予定」(同29.2%)を含めると、6割以上が使用に前向きであることがわかった。
役職別では、管理職(同33.1%)においては3人に1人がChat GPTを使用しているのに対して、一般社員においては、「Chat GPTを知らない」(同41.2%)が4割を超えており、役職が高いほど認知度や使用状況が高い傾向が表れている。(図表B)
[Q2] Chat GPTの用途を教えてください。
Chat
GPTの使用者に対して、その用途を調査したところ、1位「文章の生成、添削、校正、要約」(回答率34.9%)、2位「情報収集」、「アイデア出し」(各同33.6%)となった。また、活用状況を、「業務上で活用できており、今後も使用予定(以下、活用できている)」、「業務上ではうまく活用できていないが、今後も使用予定(以下、活用できていない)」、「業務上でうまく活用できておらず、今後は使用しない予定(以下、今後は使用しない)」、「プライベートで使用」に分類したところ、4人に1人は「活用できている」(同24.2%)ことがわかった。
「顧客からの問合せ対応」、「システム構築・プログラミング」、「Webサイトの制作」の用途においては、「活用できている」が多く、「情報収集」や「アイデア出し」は、「プライベートで使用」が多いなど、用途によって活用状況に差がうかがえた。(図表C)
[Q3] Chat GPTによる自身の業務への影響や、今後の使用方針を教えてください。
Chat GPTを業務上で使用している人に対して、Chat GPTが自身の業務に与える影響を調査したところ、「作業効率が向上する」(回答率56.1%)が最も多く、「高度な作業が行える」(同34.1%)、「非効率な作業が増える」(同26.8%)と続き、「担当業務が奪われる」(同15.9%)と感じている人は15%程度に留まった。上位の項目になるほど、「活用できている」人による回答率が高くなっており、全体順位に対しても「活用できている」人の意見が反映されている様子がうかがえる。(図表D)
Q1にて「使用中」または「使用予定」と回答した全体の約3割の人に、今後の使用方針を聞いたところ、「必要に応じて使用したい」(回答率78.0%)が約8割を占めており、「積極的に使用したい」(同16.7%)と合わせると約95%が
Chat
GPTの使用に前向きであることがわかった。
また、既にChat GPTの使用実績がある「使用中」のみに限定して見れば、使用継続に否定的な意見は約1割となっており、Chat GPTの利用効果を感じている人が多い様子が表れている。(図表E)
■リスモン調べ動画
今回発表の「対話型AI(ChatGPT)の使用実態」調査はYouTubeの「リスモンちゃんねる」でもご覧いただけます。